
日本の公正取引委員会(公取委)は、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの酒類事業所を調査しました。各社が飲料価格を引き上げるため協調した疑いがあり、価格改定の経緯や企業間の連絡が焦点です。

公取委が大手4社の事業所を調査
アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの4社は、事業所が公取委の調査を受けたとBBCに認めました。各社は調査に全面的に協力する意向を示しています。

公取委の岩成博夫事務総長は、調査が行われていることを否定しませんでしたが、予備的な審査中として詳細へのコメントを控えました。
4社は日本のビール市場を主導する企業です。調査は、国内の酒類取引慣行に関する独占禁止法違反の疑いを対象としており、各社が価格を引き上げる際に協調したかどうかが問われています。
2022年と2025年の値上げが焦点
報道によると、調査は各社が2022年10月と2025年4月に実施した値上げを中心に進められています。各社は値上げを発表した際、原材料費の上昇に加え、エネルギー費や輸送費などを理由に挙げました。
キリンは、子会社のキリンビールが独占禁止法違反の疑いで調査を受けたと説明し、事態を重く受け止めると表明しました。サントリーも、国内の酒類取引慣行に関する独占禁止法違反の可能性に関連した立ち入り検査を認めました。
アサヒも調査対象になったと説明し、公取委に協力するとしています。キリンは業績への影響が現時点で定まっていないとし、重要な進展があれば公表する方針です。
価格情報の交換だけで違反とは限らない
日本の独占禁止法が禁じる「不当な取引制限」とは、事業者同士が合意などに基づいて価格や生産量などを互いに制限し、特定の市場で競争を実質的に制限する行為です。競合企業間の情報交換だけでは、直ちに同法違反とはなりません。
一方、価格や数量など、企業の現在または将来の事業活動に関わる具体的な情報を交換し、その後に競争を制限する合意が成立した場合は問題になり得ます。東京高裁の判例では、企業間に明示的な契約がなくても、互いの値上げを認識して受け入れたという暗黙の合意が認められることがあります。
違反の立証では、値上げ前に連絡や交渉があったか、交渉が値上げを扱っていたか、その後の各社の行動が交渉内容に沿っていたかが判断材料になります。価格改定について情報を交換した事実だけでなく、やり取りと実際の値上げとの結び付きが問われます。
企業間の協議と値上げの実行が判断材料に
日本の公取委が示す業界団体向け指針では、参加企業の具体的な価格や数量の計画、顧客との個別取引など、競争に重要な情報の交換が問題となる例に挙げられています。過去の実績を個社が特定できない形に集計して公表することなどは、指針が原則として違反とならない行為の例に挙げています。
石油販売業者の判例では、業界団体の会合で仕入れ価格の上昇予測や小売価格の引き上げ策を話し合い、値上げの目安を決めた行為が違反とされました。ビニールタイル製造会社の判例では、値上げ幅や実施後の価格水準を協議し、各社が実際に値上げしたことが独占禁止法違反と判断されました。
調査報道が出た後、アサヒ、キリン、サッポロの株価は下落しました。また、公取委は6月にも、明治や江崎グリコを含む大手アイスクリームメーカーのカルテル疑惑を調査していました。








