
横浜美術館で11月23日まで開催
横浜美術館で特別展「マリー・アントワネット・スタイル」が開催されています。ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)が企画した巡回展で、日本国内では横浜のみで開催されます。ドレスや宝飾品、家具、絵画、映画衣装など約200点を通じて、王妃の装いと後世に受け継がれたスタイルをたどります。

会期は2026年8月1日から11月23日までです。開館時間は10時から18時で、11月2日、7日、14日、20日、21日、22日は20時まで延長されます。入館は閉館の30分前までです。木曜日は休館ですが、8月13日、9月24日、11月19日は開館します。

観覧料は一般2,500円、大学生1,600円、中学・高校生1,000円で、小学生以下は無料です。前売料金はそれぞれ2,300円、1,400円、800円です。会期中は一部作品の展示替えがあります。本展のチケットで、当日に限り同時開催の横浜美術館コレクション展も観覧できます。
王妃の装いと、宮廷に広がった趣向
展覧会は3章で構成されます。第1章は1770年から1793年までを扱い、オーストリアから14歳でフランスへ嫁いだマリー・アントワネットが、衣装やインテリアなどに取り入れた趣向を紹介します。第2章は王妃の死後にあたる1800年から1940年を扱い、第3章では現代のファッションやデザイン、映画、音楽に続く影響を取り上げます。
第1章に登場する「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」は、18世紀に格式の高いドレスとして着用された形式です。展示作には、つるバラや花束の連続模様を織り出したシルクの白いボーダーが使われています。図案に合わせて糸を絞り染めしてから織る技術が用いられた、王妃が愛用した一着とされています。
同時代の「ローブ・ア・ラングレーズ」は、前が開いた上着をペチコートに重ねるドレスです。上着とスカートが一続きで、背中のプリーツが特徴のローブ・ア・ラ・フランセーズに対し、ローブ・ア・ラングレーズは身頃が背中の中心で一続きにならず、ウエストまで体に沿う構造です。
真珠のネックレスと王妃のイメージ
展示品には、天然真珠119粒を連ねたネックレスがあります。王妃がフランスからの脱出を計画した際、故国オーストリアへ運ばせた宝飾品の一つで、革命後は娘のマリー・テレーズ・シャルロットとブルボン=パルマ家に受け継がれました。現存が公になったのは2018年秋で、今回が日本初公開です。
第2章では、王妃の死後、その装いや美意識が偶像化されていく過程をたどります。19世紀には、ナポレオン3世の皇后ウジェニー・ド・モンティジョらが王妃のスタイルを参照しました。ブルジョワ層は衣装やインテリアに取り入れ、仮装舞踏会の題材や物語の主人公としても広まりました。
王妃のファッションへの愛着は、革命期に「ぜいたくな王妃」というイメージとも結びつきました。フランスでは高価な服飾への関心が批判の対象となり、王妃は「マダム・デフィシット」と呼ばれました。一方、王妃が「パンがなければブリオッシュを」と発言した記録はなく、この言葉が王妃に結びつけられたのは死後約50年たった1843年です。
映画衣装と会期中の関連イベント
第3章では、ソフィア・コッポラ監督、キルスティン・ダンスト主演の映画『マリー・アントワネット』(2006年)に焦点を当てた展示があります。マノロ・ブラニクが手掛けたパンプスや、映画に登場したドレス、靴、デザインスケッチなどが並びます。同作の衣装デザインを担当したミレーナ・カノネロは、第79回アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞しました。
会場では映画の衣装のほか、現代のメゾンによるファッションや、王妃を題材にしたデザイン、音楽なども紹介されます。展示作には、ジョン・ガリアーノが手掛けたクリスチャン・ディオールの2006年春夏オートクチュールコレクションのイブニングコートも含まれます。
会期中の関連イベントには、10月25日の「香りの価値をつくる―マリー・アントワネットの時代から現代の調香へ」や、11月8日の「わたしたちのマリー・アントワネット・スタイル」があります。上映会は9月26日と27日、ドレスの構造を扱うプログラムは10月18日に予定されています。









