
米国防総省は、大学に設置される孔子学院を国家安全保障上の脅威に指定しました。ピート・ヘグセス国防長官は、異なる名称で活動していた80組織を30大学で解体したと述べています。今回の指定の背景には、大学への連邦資金を制限してきた法制度と、孔子学院をめぐる懸念の広がりがあります。
国防総省が指定を発表、長官は80組織の解体を主張
孔子学院は、中国語や中国文化の教育・交流を目的に、大学などに設置されてきた文化機関です。米国防総省はこれらを国家安全保障上の脅威に指定し、ヘグセス長官は金曜日に公開した動画で決定を明らかにしました。
ヘグセス長官は、議会の制限を受けた後も、孔子学院が別の名称や規約を使って活動していたと説明しました。長官は、30大学に「80の新たな宣伝組織」が現れ、知的財産の窃取や学生への浸透を目的としていたと主張しています。
また、長官は過去2カ月に国防総省が対象組織を「一つ残らず」計画的に解体したと述べました。これは長官の説明で、在米中国大使館は報道機関からのコメント要請に応じていません。
2021年の法律で国防総省資金を制限
孔子学院をめぐる連邦政府の資金制限は、2021会計年度の国防権限法(NDAA)第1062条に基づきます。同条は、中国政府が直接または間接に資金を出す文化機関を孔子学院と定義し、学院を置く米国の高等教育機関への国防総省資金を制限しました。
この制限は2023年10月1日に発効しました。学生へ教育支援として直接渡される資金は対象外です。また、米国外の教育機関が孔子学院を設置する場合にも、この条項による資金制限は適用されません。
大学は国防長官に免除を申請できます。申請には大学の上級職員による要請書と、免除基準を満たすことを示す文書が必要です。国防総省の指針では申請を随時受け付ける一方、2023年6月1日以降の申請については、制限の発効日までに判断することを保証していませんでした。
免除には大学の監督体制や研究情報の保護が必要
免除を得るには、孔子学院が大学の他のセンターや研究機関と同様の方針に従う必要があります。大学側には、学院の予算、人員、運営を毎年審査することや、学問の自由と言論の自由に関する方針を提出することが求められます。
研究情報の保護も基準に含まれます。研究に携わる教職員の海外出張を届け出る制度や、連邦資金を使った研究データを扱う情報システムのサイバーセキュリティ対策が必要です。学院の職員や大学職員ではない訪問者が、そうした研究データにアクセスできないようにすることも条件です。
大学には、学院のカリキュラム、教員、教材、運営上の判断、該当する場合は研究助成金を全面的に管理することも求められます。学院に関わる人員を大学の雇用方針に従わせ、授業内容や教材を大学の教員組織が審査する仕組みも、免除審査の対象です。
2019年以降に閉鎖が進み、代替支援を探す大学も
米政府監査院(GAO)は、米国内の孔子学院が2019年の約100校から2023年7月には5校未満に減ったと報告しました。2019年から2022年にかけて70校超が閉鎖したとされます。2023年の調査では、回答した74校のうち61%が、連邦資金を失う可能性が閉鎖の判断に「大いに」影響したと答えました。
閉鎖の理由には、米政府や議会、州の関係者からの圧力も含まれます。調査に回答した大学は、孔子学院の外国籍職員に学内の意思決定権を持たせないことや、米国人の学院長を大学幹部に対して説明責任を負う立場にすることなど、運営上の対策も報告しました。
閉鎖後、中国語教育や中国関連の文化・学術プログラムを利用する機会が減ったとする大学もありました。代替支援には、大学の学部や米政府の語学プログラムのほか、台湾側の奨学金・共同学位プログラム、元の中国側提携機関からの支援が含まれます。








