
ウォン氏に懲役10年の判決
香港の民主活動家ジョシュア・ウォン氏に、外国勢力との結託を禁じる国家安全維持法違反で懲役10年の判決が言い渡されました。刑期のうち2カ月と2日は、服役中の別の刑と同時に執行されます。
ウォン氏は2020年7月から11月下旬にかけ、国外にいる活動家ネイサン・ロー氏らとともに、中国政府に対する外国の制裁や封鎖を働きかけたとして起訴されました。ウォン氏は9月に罪を認めていました。
今回の判決前、ウォン氏は国家政権転覆罪で56カ月の刑に服しており、翌年1月に釈放される予定でした。新たな刑の一部が現在の刑期と重なるため、懲役10年の全期間がそのまま追加されるわけではありません。
国家安全維持法が定める外国勢力との結託
香港国家安全維持法第29条は、外国や域外の機関、組織または個人と共謀すること、またはその指示・支配・資金提供などの支援を受けることに加え、特定の行為を犯罪として定めています。
対象となる行為には、香港や中国に対する制裁・封鎖などの敵対行為、香港政府や中央政府の法律・政策の策定と実施を深刻に妨げ、重大な結果を招く可能性のある行為、香港の選挙を操り、破壊する行為などがあります。
第29条の刑罰は懲役3年以上10年以下で、重大な罪の場合は無期懲役または懲役10年以上です。今回の判決では、制裁や封鎖を働きかけたとされる行為が同条の罪に問われました。
法成立から香港での施行まで
2020年5月、中国の全国人民代表大会(全人代)は香港の国家安全法制を整える方針を示し、同月末に常務委員会へ制定作業を委ねました。法案の制定は香港の立法会での審議を経ずに進められました。
6月30日、全人代常務委員会が法律を可決し、同日午後、法律を香港にも適用できるよう香港基本法の付属文書に加える決定が行われました。香港基本法18条の手続きに基づき、行政長官が官報で公布した同日午後11時に施行されました。
法律の全文が公になったのは、公布され官報に掲載された時点でした。香港では施行翌日の7月1日に抗議活動があり、同法違反の疑いで10人が逮捕されました。
10代から続いた活動とこれまでの服役
ウォン氏は2011年、14歳で民主派の学生団体「学民思潮」を共同設立しました。翌年、学校での「愛国教育」必修化に反対する抗議に10万人を超える人々が参加し、香港当局は計画を撤回しました。
2014年には「雨傘運動」と呼ばれる市民的不服従運動の前面に立ち、2016年にはロー氏らと民主派政党「香港衆志(デモシスト)」を設立しました。同党は2020年、国家安全維持法の導入を受けて解散しました。
ウォン氏は2019年の警察本部前の抗議活動に関連する罪でも服役していました。2021年には47人とともに国家政権転覆罪で起訴され、同法のもとでの大規模な訴追の一つとなりました。
判決への反応
ウォン氏の友人で活動家のフランシス・ホイ氏は、判決に「心を痛め、憤っている」と述べ、ウォン氏個人にとどまらない政治的弾圧だと批判しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチも判決を「残酷で不公正」と評しました。同団体のアジア地域ディレクター、エレイン・ピアソン氏は、香港政府が著名な民主派指導者に複数の罪を重ねて国際的な批判を抑えようとしているように見えると述べました。
国家安全維持法違反でこれまでに言い渡された最も重い刑は、外国勢力との結託の罪に問われた元メディア経営者ジミー・ライ氏の懲役20年です。







