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出典: California Institute of Technology

殻の形を決める三つの要素

カリフォルニア工科大学のHuan Liu氏とKaushik Bhattacharya氏は、軟体動物の殻の形を、成長前線の曲線、拡大率、回転を表すベクトルの三要素で記述する数学モデルを示しました。研究者らは、この枠組みで既知の軟体動物の殻のほぼすべてを表せるとしています。

殻は、成長する縁に新しい物質が加わることで形を変えます。このモデルでは、縁の形を保ちながら拡大と回転を繰り返す成長として表現します。

拡大率は殻が成長の一段階ごとにどれだけ大きくなるかを表し、回転ベクトルは回転の軸と向きを示します。成長前線の曲線は、殻の開口部を形作る初期形状です。

成長の反復をLie群で記述

研究者らは殻の成長を連続的な幾何変換の反復として捉え、Lie群(連続的な変換を組み合わせる数学的な枠組み)を用いて定式化しました。殻の成長前線に拡大と回転を適用し、その結果に次の変換を重ねて全体の形を作ります。

モデルでは、成長前線の位置を、時間に応じて拡大・回転した初期曲線として表します。拡大率を変えると殻が広がる速さが変わり、回転軸の向きや位置を変えると、らせんの向きや巻き方が変わります。

殻全体の形を表す式は、成長縁における局所的な成長則とも数学的に等価だと研究者らは示しました。このモデルでは、新しい物質が縁に沿って加わり、その追加速度は縁の曲がり方など、局所的な幾何に応じて決まります。

プロトコンクから続く成長

プロトコンクは、巻貝など腹足類の殻の最上部にある幼生期の殻です。研究者らのモデルでは、発生初期にできるこの殻の成長縁が、後続する殻の形を作る出発点になります。

腹足類の殻は一般に巻いており、右巻きにも左巻きにもなります。モデルでは、回転の向きを反転させると、らせんの巻き方向も反転します。

成長縁の曲線が開口部の形を定め、拡大率や回転の設定が、その曲線から続く殻の広がり方を決めます。研究者らは、成長率が変化したり小さな欠陥が生じたりしても、全体の形が再現されやすいと述べています。

系統との対応と工学への展開

研究者らは、拡大率と軟体動物の系統との関係も調べました。系統樹上で同じ綱に属する軟体動物は、外見が異なる場合でも拡大率が近い傾向があり、殻を持つ五つの綱はそれぞれ狭い範囲の値を取ると報告しています。

五つの綱は、腹足綱、二枚貝綱、頭足綱、単板綱、掘足綱です。モデルでは、三要素と系統樹との関係を扱い、殻の形と成長則を局所的な幾何に基づいて表します。

研究者らは、この成長の仕組みを複雑な形状の材料製造に応用できる可能性を挙げています。Bhattacharya氏は、ジェットエンジン向けの特殊なマニホールドなどを、より少ないエネルギーで製造する方法につながる可能性を述べました。

論文「Local growth laws determine global shape of molluscan shells」は、2026年10月23日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました。