クラトムと7-OHは成分の濃さが異なる

クラトムは東南アジア原産の常緑樹で、葉を乾燥・粉砕した粉末や茶、カプセルなどが米国で流通しています。葉にはミトラギニンをはじめ複数のアルカロイドが含まれ、ミトラギニンは神経系のミューオピオイド受容体に結合する部分作動薬です。

低用量では刺激作用があるとされ、高用量では慢性痛の緩和やオピオイド離脱の症状を抑える目的で使う人もいます。一方、製品ごとの成分量には幅があり、根拠に基づく用量の推奨はありません。

7-OH(7-ヒドロキシミトラギニン)は、ミトラギニンが体内で代謝されて生じる成分です。天然の葉にもごく少量含まれますが、錠剤やグミ、ショット飲料などの一部製品には人工的に濃縮された7-OHが使われています。

米国では認知度が低く、使用経験も限られる

2026年に実施された米国成人調査では、クラトムについて「まったくなじみがない」と答えた人が66%、「あまりなじみがない」が18%で、合わせて83%がなじみの薄さを示しました。クラトムを一度でも使ったことがある人は10%でした。

天然の葉由来製品と合成・濃縮製品の違いについても、調査対象者の82%が「まったくなじみがない」と回答し、18%が何らかの知識があると答えています。合成クラトムの規制を強めるべきかという質問では、回答者の44%が強化、21%が緩和、35%が現状維持を選びました。

公衆衛生上の重大な危険があるかについては、66%が「わからない」と回答しました。保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニアが合成クラトムや天然クラトムの規制を支持しているかという問いでも、それぞれ81%、83%が「わからない」と答えています。

中毒相談の報告は10年で約1,200%増加

米国の毒物相談センターが扱うクラトム関連の曝露報告は、2015年の258件から2025年の3,434件に増えました。米疾病対策センター(CDC)の分析では、この10年間の増加率は約1,200%で、2025年の件数は調査期間中の最多でした。

2015〜2025年の報告は計14,449件で、そのうち38%にクラトム以外の物質も関わっていました。複数物質が関わる報告では、アルコール、オピオイド、ベンゾジアゼピン系薬、抗うつ薬などが挙げられています。

複数物質が関わるケースでは、入院に至った割合が年ごとに44〜56%で、クラトムだけが報告されたケースの24〜29%を上回りました。死亡233件のうち184件、79%も複数物質が関わる報告に含まれます。 これらは毒物相談センターへの報告に基づく数字です。

FDAとDEAが異なる枠組みで対応

米食品医薬品局(FDA)は、クラトムを含む処方薬や市販薬の承認品は米国で販売されていないとしています。また、現時点でクラトムは合法的な栄養補助食品として販売できず、一般食品への添加も認められていないとの立場です。

一方、FDAはクラトム製品がオンラインや実店舗で流通していると説明しています。未承認の医薬品や、違法に販売される栄養補助食品・食品を扱う事業者に対し、税関・国境警備局や司法省と連携して販売を制限する措置を取ってきました。

連邦規制では、FDAが未承認製品や表示を取り締まる一方、DEA(麻薬取締局)は成分を規制する提案を進めています。DEAは当初、ミトラギニン由来の成分MGPIを量にかかわらず禁止する案を出しましたが、2026年10月の修正案では、MGPIと7-OHを製品中のミトラギニンとの比率に応じて制限する方針へ変わりました。 州や自治体が7-OH製品、場合によってはクラトム製品全般の緊急禁止措置を取った例もあります。

製品の濃度や表示と実際の成分量が一致しない例も報告されています。天然由来か濃縮成分かによって作用やリスクが異なるため、規制をめぐる議論では、製品の成分と濃度をどう扱うかが焦点になっています。