
3つのコピーを2種類の媒体に分け、1つを別の場所へ
大切なデータを3つのコピーに分け、2種類の媒体に保存し、そのうち1つを別の場所に置くのが「3-2-1ルール」です。1つの機器が壊れたり、保管場所で災害が起きたりしても、別のコピーから復元できる可能性を残す考え方です。
このルールは、写真家のピーター・クロッグが2009年の著書で広めました。CISAは「3」を元データ1つとバックアップ2つ、「2」を異なる種類の媒体、「1」を自宅や事業所の外に置くコピーと説明しています。
たとえば、パソコンのデータを外付けドライブにも複製し、さらに別の場所に保管する方法があります。ただし、コピーを同じ建物に置くと、火災や洪水などで同時に失うおそれがあります。離れた場所に保管することがルールの要点です。
クラウド同期とバックアップは役割が異なる
クラウド同期は、指定したファイルを複数の端末やクラウド上で同じ状態に保ち、どこからでもアクセスできるようにする仕組みです。バックアップは、端末上のデータを別の場所に保存し、端末の故障やデータ消失時に戻せるようにするものです。
同期では、ある端末で行った変更や削除がほかの端末にも反映されます。そのため、同期先にファイルがあるだけでは、誤削除や破損前の状態を残せるとは限りません。サービスによっては過去の版を復元できますが、その機能や保存期間は一律ではありません。
さらに、WindowsのDropboxやOneDriveでは、ファイル本体ではなくクラウド上のデータを指すプレースホルダーが表示される場合があります。Backblazeは、この形式のファイルをバックアップしても実データを復元できないとして、対象フォルダーをバックアップから除外しています。iCloud DriveとGoogle Driveには対応を追加し、ほかの同期サービスへの対応は検討中としています。
保存先と媒体を分ける
CISAは、クラウドへの遠隔バックアップについて、自然災害や端末の重大な故障からデータを守る助けになり、インターネット接続があれば利用できる利点を挙げています。一方、通信環境に依存し、利用者がデータや事業者側のセキュリティ運用を直接管理しにくい点も指摘しています。
外付けドライブやUSBメモリーなどの着脱できる媒体は、パソコンから物理的に切り離して保管できます。一方、紛失や盗難の危険があり、接続中に元データの破損やマルウェアがコピーへ広がる可能性もあります。CISAは、可能な媒体では暗号化し、バックアップ後は機器を取り外して安全な場所に保管する方法を示しています。
同じ内蔵ドライブに元データとバックアップを置けば、追加の機器を使わずに済みますが、ドライブの故障や盗難で両方を失う可能性があります。また、元データを定期的に上書きするバックアップでは、破損やマルウェアまで引き継ぐことがあります。3-2-1ルールでは、コピー数だけでなく、媒体と保管場所も分散させます。
ランサムウェアに備えてオフラインのコピーを保つ
ランサムウェアは、端末のファイルを暗号化して使えなくし、復号と引き換えに金銭を要求するマルウェアです。CISAは、攻撃者がネットワーク上からアクセスできるバックアップを探し、削除または暗号化する場合があるとして、重要データのオフラインかつ暗号化されたバックアップを保ち、定期的に復元できるか試すよう勧めています。
オフラインのコピーは、ネットワーク越しに操作されるバックアップから切り離されているため、攻撃者が同じ経路で消去・暗号化することを難しくします。CISAは、災害復旧を想定してバックアップ手順を定期的に試し、利用可能性とデータの完全性を確かめることも挙げています。必要なときに復元できる状態かを確認するためです。
CISAは、クラウド間バックアップでは、同じ事業者のアカウントがまとめて影響を受ける事態に備え、複数のクラウドを使う方法も選択肢として示しています。また、変更不能なストレージを提供する事業者もある一方、設定ミスが大きな費用につながる可能性や、規制上の要件を満たさない場合があると注意を促しています。










