
BBCは、『ハリー・ポッター』の作者J.K.ローリングを扱う2部構成のドキュメンタリーシリーズを放送します。シリーズでは、作品が世界に広がった経緯と、ローリングが政治的な発言を強めていく過程を追います。ローリング本人は出演せず、過去の映像や著作、仕事を共にした人々へのインタビューを通じて描きます。
BBCが2部構成で描くローリングの歩み
制作を担うのは、ドキュメンタリー「Becoming Frida Kahlo」などを手がけたRogan Scotlandです。シリーズの仮題は「J.K. Rowling」で、BBC Two、BBC Scotland、配信サービスのiPlayerで放送される予定です。
番組では、ローリングの作家としての躍進、文化への影響、評価が分かれる遺産を取り上げます。第2話では、創作の背後にいたローリングが、次第に大きな政治的発言力を持つようになる過程を扱います。
ローリングが執筆した「ハリー・ポッター」は、1997年に第1作が刊行されました。7巻からなるシリーズは、映画やテレビシリーズ、ゲーム、テーマパーク、関連商品へと広がっています。BBCの歴史番組責任者サイモン・ヤングは、同作とローリングの物語を英国の文化史を考えるうえで重要な題材と位置づけました。
2020年の発言と反発
ローリングをめぐる論争のきっかけの一つは、2020年6月の一連の発言でした。ローリングは性別の概念と女性の経験について自身の考えを示し、その後、自身のウェブサイトに長文のエッセーを掲載しました。
ローリングは、単一性別の空間に関する懸念を述べ、自身が家庭内暴力や性的暴行を経験したことにも触れました。トランスジェンダーの権利を支持する俳優や活動家は、ローリングの見解に反対しました。『ハリー・ポッター』映画でハーマイオニーを演じたエマ・ワトソンも、トランスジェンダーの人々への支持を表明しました。
同年8月、ローリングはロバート・F・ケネディ人権団体から前年に受け取った「Ripple of Hope賞」を返還しました。この賞は、子ども支援団体Lumosでの活動を理由に授与されていました。団体の代表ケリー・ケネディがローリングのトランスジェンダーに関する発言を批判した後、ローリングは双方の見解の深刻な対立を返還理由に挙げました。
評価が分かれる公的な立場
ローリングは、女性の権利を擁護する立場から発言していると述べ、トランスジェンダーの人々を憎んでいるとの見方を否定しました。一方、ケネディはローリングの発言がトランスジェンダーの人々の経験を損なうと批判しました。
2020年6月には、俳優ダニエル・ラドクリフもトランスジェンダー女性は女性だとする立場を示しました。「ファンタスティック・ビースト」出演者のエディ・レッドメインもローリングの見解に反対し、トランスジェンダーの人々への敬意が必要だと述べました。作品を支持してきた俳優やファンとの間にも距離が生じました。
番組は、ローリングの発言をめぐる議論を、作家としての経歴や「ハリー・ポッター」の文化的な広がりと並べて扱います。BBCは番組を通じて英国社会の変化も描く方針です。
放送と配信の予定
「J.K. Rowling」はBBC TwoとBBC Scotlandで放送され、iPlayerでも配信される予定です。海外への配給はBBC Studiosが担当します。
このシリーズの発表は、HBOによる「ハリー・ポッター」テレビシリーズのリブートがクリスマスに開始予定とされる時期に行われました。BBCのドキュメンタリーとHBOのドラマは、同じ作品世界に関係する番組です。









