
エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン(AHJ)が、国土交通省航空局から航空機設計検査認定(DOA)を取得しました。日本で運航する同社製ヘリコプターについて、自社で設計変更を確認できる範囲が広がり、改修後の機体を運航に戻すまでの手続きが短縮される見込みです。
DOAで設計変更の確認を自社内で実施
認定日は2026年9月30日です。AHJは、日本で運航されるすべてのエアバス製ヘリコプターの設計活動を担える、国内唯一の外国系ヘリコプターメーカーとなりました。
認定対象には、次世代機H160や大型機H225を含む全機種が入ります。日本の任務に合わせた特別装備や複雑な構造改修について、設計、製造、検査、飛行試験を自社内で進められます。
設計の枠組みには、欧州連合航空安全庁(EASA)の規則「Part 21」に基づくエアバスの設計が用いられ、日本の航空当局が受け入れます。これまでは、特別な改修に複数段階の申請が必要で、地上試験や飛行試験には航空当局職員の立ち会いも求められていました。
改修から運航復帰までを神戸で
AHJはすでに製造検査認定(POA)と整備改造認定(MOA)を取得しています。今回のDOAと組み合わせ、設計から製造、検査、飛行試験までを神戸工場で完結できる体制が整いました。
これにより、改修のたびに必要だった当局との手続きや試験への立ち会いを減らし、整備・改修にかかる時間を短縮できます。改修を終えた機体を、より早く運航に戻せます。
神戸工場には、改修設計、統合試験、認証業務を担う35人のエンジニアリングチームがあります。暗視ゴーグルに対応した計器盤照明への変更や、飛行中に窓を開閉できるかの確認も、同チームが担当します。
国内の運航を支える整備と訓練
日本ではエアバス製ヘリコプターが360機以上運航し、救急医療、消防・防災、捜索救難などに使われています。神戸工場では機体整備、部品修理、装備改修に加え、操縦士と整備士の訓練も行います。
工場は2012年に開設され、2020年には第2格納庫が加わりました。アジア太平洋地域の機体整備や、他国から持ち込まれるローターブレードの修理にも対応しています。
訓練施設には、飛行状況や天候を設定できるフルフライトシミュレーター(FFS)があります。緊急時の対応や悪天候下の操縦を模擬環境で練習でき、整備訓練にはVR(仮想現実)も使われています。
遠隔支援や日本発の改修技術
神戸では、頭部装着型端末HoloLensを使い、離れた場所にいる技術者同士が映像や情報を共有する遠隔支援を進めています。今後は、顧客の整備現場と神戸工場をつなぐ活用を目指しています。
機体の塗装では、従来のレーザー投影に代わり、AR(拡張現実)で表示した図柄をなぞる方法を導入し、作業時間を約14%短縮しました。機体の構造や部品を立体表示し、現物を運ばずに形状や大きさを確認する方法も検討されています。
日本向けに神戸で開発した、機体下部に密着する消火用タンクは、今後、海外でも活用する予定です。AHJはAIによる予知整備やVRを使った操縦訓練にも取り組んでいます。また、有人ヘリコプターを補完する無人航空アセット(UAS)の活動には、日本の技術者も関わっています。










