ポンペイの木製戸棚から護符の首飾りや38枚の硬貨を発見
出典: pompeiisites.org

ポンペイの住宅跡で、約2,000年前の噴火後に閉ざされた木製戸棚と、その中に残された品々が見つかりました。少なくとも24個の護符を連ねた首飾りや青銅貨38枚など、身支度や商い、家の暮らしに関わる品がまとまって残っていました。

戸棚に残された身支度の品と硬貨

戸棚が見つかったのは、ポンペイ中心部の「コルネリウス・マクシムスの家」と呼ばれる住宅です。建物の正面部分は1912年に発掘されていましたが、今回の調査では奥の部屋の一部が調べられ、戸棚の内容が明らかになりました。

品々には、毛抜きや化粧用顔料を準備する道具、香油などを入れたガラス瓶、香炉、青銅製のランプが含まれていました。青銅やガラス、陶器の器や鍋もあり、食事や調理に使われたとみられます。

小さな容器に保管されていた硬貨は38枚で、すべて青銅製でした。硬貨や首飾りなどが戸棚に残っていたことから、住人が価値ある品を持ち出す時間がなかった可能性が考えられています。

24個以上の護符が連なる首飾り

発掘品には、ファイアンス(釉薬をかけた陶製品)、骨、ガラス質の素材、水晶で作られた少なくとも24個の小さな飾りを連ねた首飾りがありました。飾りにはローマの神メルクリウスやエジプトの神ベスのほか、手や足、松ぼっくり、ブドウの房が表されていました。

この種の首飾りは「クレプンディア」と呼ばれ、古代ローマでは子どもに持たせる護符として使われました。身を守る願いに加え、子どもの居場所を音で知らせる役割もあったとされています。

ベスは、ライオンのたてがみや尾を持つ姿で表された古代エジプトの神です。家を守り、音楽や刃物などで邪悪なものを退ける存在とされ、特に女性や子どもを守る神として護符にも描かれました。ポンペイの首飾りでは、エジプトの神とローマの神などが同じ品に並んでいます。

持ち主の記憶をとどめる品

クレプンディアは子ども時代に贈られた後、大人になってからも記念として保管されることがありました。ポンペイの首飾りも、幼少期から持ち続けた品だった可能性があり、持ち主が子どもだった可能性もあります。

当時のローマ世界では、奴隷から裕福な商人まで、地中海各地を移動する人々がいました。親や故郷から離れて暮らす人が、子どもの頃の品を思い出として手元に置いた例もあったと考えられています。

建物では、噴火当時に工事が進んでいた形跡が確認されています。

ほかの住宅で見つかった家具との違い

ポンペイの別の住宅では、寝室に置かれた木箱が開いた状態で見つかり、中には小皿とランプが残っていました。別の部屋では、台所や食堂で使われた陶器やガラスの器が大型の戸棚から見つかっています。

その住宅の廊下では、少なくとも5段の棚を備えた木製家具も発掘され、上段には小さな水差しやアンフォラ、ガラス皿が置かれていました。噴火で崩れた火山灰の空洞に石膏を流し込み、家具の形を型取りする方法も使われました。

戸棚には、身支度の道具や日用品、記念の首飾り、硬貨のほか、商いに使われた可能性のある鉛のおもりも残されていました。