
木製品597点から見えた道具の幅
スペイン・バルセロナ近郊のアブリック・ロマニ遺跡で、ネアンデルタール人が使ったとみられる木製品や痕跡597点が分析されました。研究チームは、そのうち13点を加工された道具や物と特定し、槍状の品、先のとがった道具、樹皮の容器、構造材、棍棒に似た品などを挙げています。
木は石と違って腐りやすく、遺跡に残りにくい素材です。研究の共著者ジョゼップ・バリュベルドゥ氏は、木が考古学的記録から分かる以上にネアンデルタール人の生活で重要だった可能性を指摘しています。
アブリック・ロマニでは、木製品が異なる考古学層から数千年にわたって見つかっています。研究者らは、木工が例外的な作業ではなく、日常の技術の一部だったと説明しています。
腐った木が石灰質の型として残る
遺跡では、木そのものが長期間残ったのではなく、腐朽した木の周囲に炭酸カルシウムが堆積し、木が失われた後に空洞や型が残りました。鉱物を含む水が埋もれた木材を覆い、細胞レベルの特徴まで記録する型を形成したとされています。

ゆっくりした洪水が有機物を覆い、その後、周辺のトラバーチンに由来する鉱物が木の周囲で固まりました。木は分解して空洞となり、研究者らは1995年にその空洞へ樹脂を流し込んで鋳型を作り始めました。
木製痕跡の調査では、以前は型取りに加えて保存・修復処理が必要でした。近年の3D記録技術により試料をすばやく再構成できるようになり、今回の大規模な分析につながりました。
槍や棍棒に似た品、生活空間の構造材
確認された13点には、武器や道具だけでなく、生活空間に関わる構造材も含まれます。研究チームは、樹皮の容器や枝を落とした長い木材なども特定しました。

棍棒に似た品は、細い柄とこぶ状の大きな頭部を持ちます。別の研究報告では、1本の木から作られ、柄と頭部の間に段差がある形状と説明されています。
遺跡では、火の跡や石器、動物の骨も木製痕跡と同じ層から見つかっています。これらを合わせて調べることで、研究チームは火の扱いや資源の利用、活動場所の構成を検討しています。

他の遺跡でも見つかる木製道具
ネアンデルタール人に関連する木製品は、アブリック・ロマニだけで確認されているわけではありません。ドイツ、イタリア、ギリシャの遺跡からも木製の武器や道具が見つかっており、槍や掘り棒が例として挙げられています。
ドイツのシェーニンゲンとレリンゲンは、ヨーロッパ旧石器時代の木製武器で知られる遺跡です。アブリック・ロマニの分析では、複数の考古学層にわたる木の利用を追えます。
発掘は現在も続いており、研究チームは新たな面や層を掘り進める中で木の痕跡を見つけています。研究者らは今後、道具の製作・維持にかかった作業や、遺跡内で確認された活動との関係を調べる考えです。









