
スイスの氷河は2026年、体積の5%を超える氷を失いました。雪の少ない冬に続き、暑く乾燥した夏となり、氷河を覆う雪が乏しい状態で融解が進みました。GLAMOS(スイスの氷河観測ネットワーク)は、年間質量収支の報告でこうした1年間の変化をまとめています。
少雪と夏の暑さが重なった
2025年から2026年にかけての冬は、観測開始以降、雪の少なさが上位10回に入る冬でした。続く2026年5月から9月には、暑く乾燥した天候が続きました。
凍結高度は、気温が0℃となる標高です。2026年の夏、この高度が標高4000メートルを超えた日は76日に達しました。これは平均の2倍以上で、スイスの記録となりました。高所でも融解が進み、9月には標高3500メートルの地点にも雪が残っていませんでした。
雪は氷河の表面を覆い、氷が直接融けるのを抑えます。年間質量収支は、1年間に雪や氷がどれだけ蓄積し、どれだけ融けたかの差を表す指標です。融解が蓄積を上回れば、氷河の量は減少します。今回は冬の積雪が少ないうえ、夏の高温が続き、氷河を覆う雪が失われる条件が重なりました。
長期的な縮小と水力発電への影響
スイスの氷河は長期的にも縮小しています。歴史的な写真などを分析した研究では、1931年から2016年までに氷河の体積が半分になり、2016年以降にもさらに12%減少したと報告されています。2026年の5%超という減少は、この長期的な変化の中で生じた1年間の損失です。
氷河の融解水は水力発電にも関わります。スイス国立科学財団が紹介した2018年の研究では、氷河の後退による融解水が1980年以降の水力発電量に占めた割合は、年平均で4%と推計されました。同研究は、地球温暖化を抑える対策が進む場合、2070~2090年には融解水による発電量が年約0.4テラワット時になると予測しています。
この推計は2018年の研究に基づいており、2026年の氷河の損失量をそのまま発電量に換算したものではありません。氷河の縮小が水力発電に及ぼす影響は融解水だけで決まるのではなく、地域やダムの標高などによっても異なります。スイス国内の発電への影響を考えるには、年間の氷河の変化と、水資源全体の中で融解水が占める割合を分けて捉える必要があります。









