デンマークのRodinia Generationは、衣料品を需要に応じて生産する事業の拡大に向け、400万ユーロ(450万ドル)を調達しました。自動化技術を使い、アジアでの委託生産と同程度の総コストで欧州生産を目指すとしています。調達資金でポルトガルに産業規模の工場を開く計画です。
調達資金でポルトガルに工場を開設
出資を主導したのは、気候変動の緩和や適応に取り組む初期段階の企業に投資するVitamin°Cです。Rodiniaは、今回の資金を生産能力の拡大に充て、ポルトガルに工場を開くと説明しています。
同社の生産拠点は、コペンハーゲンで試験運用されています。Rodiniaによると、そこで稼働する「O-factory」1ラインは、ドレス、フォーマルシャツ、サッカーシャツ、水着、子ども服など、衣料品カテゴリーの80%を生産できるといいます。
Rodiniaは、ブランドが販売予測を数カ月前に立てたり、単価を下げるために大量生産したりせずに済むモデルを掲げています。同社は、需要の変化に数日単位で対応できると説明しています。
自動化で短納期と生産の柔軟性を目指す
O-factoryは、専用ソフトウェアと機械を組み合わせ、衣服ごとのデジタル入力に応じて生産設定を変える仕組みです。Rodiniaは、この方式で多様なデザインを扱う受注生産が可能になるとしています。
生産拠点を販売市場の近くに置き、リードタイムを短縮する狙いがあります。Rodiniaは、生産に必要な期間を最長48時間とし、アジアで完成を待つ場合の約6カ月と対比しています。
Rodiniaは、平均的な衣料品1着あたりの二酸化炭素排出量を約40%減らせると説明しています。同社は、将来的に主要市場の近くへ工場網を広げる構想も示しています。
近隣生産の議論には供給網の変動も
Maile氏とStaritz氏は、新型コロナウイルスの流行後、アパレル業界で大量の注文キャンセルが起き、その後の急回復を経て在庫過剰と需要減少が続いたと整理しています。この市場変動は、需要に合わせて生産量を調整する仕組みを検討する背景の一つです。
両氏によると、実店舗には消費者データを集めて需要を予測する手段が限られ、ブランドや小売企業は値下げや売れ残り、高い在庫コストに直面しています。ブランドや小売企業は、オンライン販売を拡大して需要を捉え、在庫を抑えようとしています。
近隣生産への関心が高まっていても、供給網全体が短期間で欧州へ移る状況ではありません。Maile氏とStaritz氏が紹介した貿易統計では、EUの衣料品輸入に占める域内近隣地域からの割合は2022年に17%で、2010年代から2020年代初頭にかけて大きく変化していません。
オンデマンド生産には過去の研究例も
Rodinia以前にも、欧州では衣料品を近くで受注生産するマイクロファクトリーの構想が研究されてきました。Knox氏らは、フランスのIFTHと英国のノッティンガム・トレント大学による研究開発で、カスタマイズしたニット衣料を商業生産する事業モデルの手順を開発・評価したと記しています。
その研究が対象としたのは、女性向けの中上位市場のニット製品で、セーター、カーディガン、ドレスなどです。想定したマイクロファクトリーでは、ホールガーメント型の3D編み機を主要技術とし、平編み機を中心に検討しました。
欧州委員会のSERVIVE計画も、消費者や小売店に近い分散型の生産拠点を構想しました。計画では、ネットワーク化した中小企業の生産拠点に、自動編み機や半自動の3D組み立て施設を導入する案が示されています。
売れ残り削減と生産規模が焦点
欧州委員会の共同研究センター(JRC)が委託した研究は、衣料品を含む繊維製品の約21%が市場に出された後、売れ残る可能性があると推計しています。この割合は、市場投入量を分母としています。
同研究によると、売れ残った商品のうち最大で半数が最終的に廃棄され、その処理にはリサイクル、焼却、埋め立てが含まれます。需要に応じて生産するRodiniaのモデルは、ブランドが先に大きな数量を決める生産方式とは異なる選択肢です。











