
高血圧の治療薬アムロジピンが、ラットと遺伝子改変ゼブラフィッシュの実験で、過活動や衝動性に関わる行動を抑えました。研究チームは人の遺伝情報や健康記録も分析し、ADHD治療薬の候補として研究を進める根拠を示しました。ただし、これらの結果は人のADHDに対する治療効果を確かめたものではありません。

ラットとゼブラフィッシュで行動の変化を調査
研究チームは高血圧自然発症ラットに複数の薬を30日間投与し、行動を比較しました。アムロジピンを投与したラットでは、活動量などに関わる行動指標に変化が見られました。
続いて、過活動と衝動性を示すよう遺伝子改変されたゼブラフィッシュを調べました。アムロジピンを与えると、過活動に加えて衝動的な行動も低下しました。
ゼブラフィッシュでは、ADHD治療に使われるメチルフェニデートとの比較も行われ、衝動的な行動を抑える効果は両薬で同程度だったと報告されています。動物での行動変化は、ヒトでの治療効果と同じことを意味するわけではありません。
血圧の薬が研究対象になった理由
アムロジピンはL型カルシウムチャネルを阻害する薬です。カルシウムチャネルは細胞へのカルシウムの出入りに関わり、研究チームはアムロジピンが標的とするチャネルの構成要素に注目しました。
研究チームはメンデルランダム化解析を用いて、L型カルシウムチャネルの複数の構成要素に関わる遺伝的な違いとADHDとの関連を調べました。対象にはCACNA1C、CACNB1、CACNA2D3という遺伝子が含まれます。
この遺伝的な関連は、カルシウムチャネルを介した作用がADHDの研究対象になり得ることを示す手掛かりです。この解析だけでは、アムロジピンが人の症状を改善する仕組みや効果は確定できません。
人のデータから得られた手掛かり
研究チームは、ADHDに関わる遺伝的なリスクが高い人のデータも分析し、アムロジピンの服用と症状に関連する指標の軽減との関係を報告しました。これは動物実験とは別に、人の遺伝情報を使った分析です。
研究チームは英国の健康記録を使った分析で、アムロジピンを高血圧のために服用していた人では、気分の変動やリスクを取る傾向を報告する割合が低いという関連を確認しました。この分析は観察研究であり、薬がその違いを引き起こしたとは結論づけられません。
動物実験、遺伝情報の解析、健康記録の分析は、それぞれ異なる方法で可能性を調べたものです。いずれも、ADHDの人を対象にアムロジピンの有効性を検証した臨床試験の結果ではありません。
治療薬として確かめるには臨床試験が必要
アムロジピンは高血圧の治療薬として承認されていますが、ADHDへの使用が承認されたことを意味しません。ScienceAlertは、疲労、吐き気、歯ぐきの刺激など、アムロジピンにも副作用があると伝えています。
ADHDの治療で使われる刺激薬には、食欲低下、血圧上昇、頭痛、睡眠障害などの副作用があり、既存薬で症状が改善しない患者もいると報告されています。こうした治療上の課題を背景に、別の候補を調べる研究が進められています。










