
2026年3月期は減損拡大で最終赤字
ニデックは2026年3月期決算を当初の予定より遅れて開示し、最終損益は5646億円の赤字となりました。減損額は当初の2500億円から約6321億円に拡大しました。監査法人は有価証券報告書に監査意見を表明しませんでした。
有価証券報告書の提出期限は3カ月延長され、ニデックは延長後の期限最終日に提出しました。提出が間に合わなければ上場廃止となる状況でした。財務監査での意見不表明は、2025年3月期の有価証券報告書と2025年4〜9月期の半期報告書に続き、3回連続となりました。
ニデックは東京証券取引所から、内部管理体制に重大な問題があるとして「特別注意銘柄」に指定されています。上場廃止の可能性が意識されるなか、株価は9月25日の終値2840円から、決算開示日の9月30日には2355円へ下落しました。下落率は17.1%で、10月1日の取引時間中には1888円を付けました。
監査意見の不表明が示すこと
監査意見の不表明は、財務諸表に誤りがあると監査人が断定したことを意味しません。PwC Japan有限責任監査法人の久保田正崇代表執行役は、十分かつ適切な監査証拠を入手できず、意見を表明する基礎を得られなかったためだと説明しました。
日本公認会計士協会によると、監査人は入手した監査証拠から導いた結論を評価し、財務諸表への意見を形成します。監査意見を決める際には、十分かつ適切な監査証拠を得たかを判断します。不正や誤謬を問わず、財務諸表全体に重要な虚偽表示がないと合理的に保証できるかも評価します。
日本公認会計士協会が示す監査意見は、無限定適正意見、限定付適正意見、不適正意見、意見不表明の4種類です。限定付適正意見は、不適切な事項があるものの、財務諸表全体への影響はそれほど重要でないと判断される場合に表明されます。不適正意見は、不適切な事項が財務諸表全体に重要な影響を与える場合に表明されます。
意見を表明できない場合と誤りの認定は別
意見不表明は、重要な監査手続を実施できず、十分な監査証拠を入手できないうえ、その影響が意見を表明できないほど重要と判断された場合に用いられます。その場合、監査人は財務諸表が適正に表示されているかどうかについて意見を表明せず、理由を監査報告書に記載します。不適正意見のように、財務諸表が適正に表示されていないと判断した場合とは異なります。
久保田代表執行役は、監査に730人の会計士らを投入したものの、必要な証拠を得られなかったと説明しました。また、不正会計への関与や監査人への虚偽説明があった役職員の一部が、なお責任ある立場にいると指摘しました。久保田代表執行役によると、そうした役職員は複数国の拠点に約20人います。
日本公認会計士協会の基準では、監査人は十分な証拠を得たかどうかに加え、未修正の虚偽表示が個別または集計して重要かも考慮します。
社長交代と上場維持をめぐる状況
9月28日には、再生を主導してきた岸田光哉氏の社長解任が報じられ、翌29日に岸田氏の辞任が発表されました。ニデックは10月1日に京都市の本社で記者会見を開き、会社側に加えて監査法人の代表者も出席しました。








