selective focus photography of clear glass perfume bottle
Photo by Ulysse Pointcheval on Unsplash

今秋のトレンドには、フィグ(イチジク)を主役にした香水が挙げられています。葉の青さから果実の甘さまで、製品ごとに異なる香りを表現しています。フィグの香りは果実から精油を採って作るのではなく、複数の香料素材を組み合わせて再現します。

葉・樹液・果実を香料で組み立てる

イチジクの植物から精油は得られないため、調香師は合成香料などを使ってフィグの香りを作ります。葉を揉んだときの青さ、枝の木質感、果実の熟した甘さなど、どの部分を表現するかで香りの方向が変わります。

フィグの香りを構成する素材の一つ、Stemoneは、葉や茎を思わせる青くワックス状の香りを担います。Gamma-octalactone(ガンマ・オクタラクトン)は、熟した果実のクリーミーでココナツに近い甘さを表現します。

さらに、クマリンで温かみのある甘さを、cis-3-ヘキセノールで砕いた葉のような青さを加える構成もあります。ヘディオンやグリーンリーフ系のアルデヒドも補助素材として使われ、複数の香料で葉、樹液、果実、樹皮の印象を組み立てます。

青さからジャムのような甘さまで

フィグの香りは、青々しさ、果実感、クリーミーさ、木質感、花のような印象を行き来します。調香師のアリア・ラザは、イチジクの木の各部位にそれぞれ異なる香りの個性があると説明しています。

果実の状態によっても香りは異なります。採れたては繊細でやや花のように、乾燥すると濃く、ジャムや樹脂を思わせる香りになると、調香師のオリビア・ジャンは述べています。

香水ごとに表現も異なります。たとえば、トム フォードのFigue Érotiqueは木質感とアンバーを軸にし、Born to Stand OutのFig Pornは甘さを強調しています。

秋の新作と定番の14製品

今秋のフィグ香水として挙げられている14製品は、ディオール Dioriviera(350ドル)、Liis In This World(178ドル)、D.S. & Durga Debaser(225ドル)、Henry Rose London 1983(120ドル)、Arquiste Parfumeur A Grove by The Sea(225ドル)、Stora Skuggan Monkey Flower(180ドル)、クロエ Atelier des Fleurs Plage du Figuier(330ドル)です。

続いて、Régime des Fleurs Wildly Fig(275ドル)、Granado Figo Confit(179ドル)、Diptyque Philosykos(145ドル)、Born to Stand Out Fig Porn(230ドル)、Le Labo The Matcha 26(250ドル)、Tom Ford Figue Érotique(265ドル)、Creed Iris Debonair(380ドル)も挙げられています。

価格は掲載時の表示で、製品によって120ドルから380ドルまで幅があります。Régime des FleursのWildly Figはレモンを思わせる軽やかなフィグにピスタチオを合わせ、GranadoのFigo Confitはデーツやプラムを重ねた甘いフィグを、それぞれの調香師が構想しています。

夏の名残と秋らしさをつなぐ香り

フィグはココナツに似た温かさを持ちながら、青さや木質感も表現できるため、夏の印象と秋の空気の両方に結びつけられています。D.S. & Durgaの共同創業者で調香師のデイヴィッド・セス・モルツは、フィグが複数の香りの系統をつなぐ調和として機能すると説明しています。

秋のトレンドとして、甘い菓子を思わせるグルマン系から距離を取りつつ、食べ物を連想させる香りを残す動きの可能性が語られています。モルツは、フィグには異国的な印象と親しみやすさがあると述べています。

調香師のアネ・アヨは、フィグの魅力を、自然な温かさや官能性と現代的な新鮮さが同居する点に見ています。葉や果実のどの側面を強めるかで印象が変わるため、同じフィグを掲げる香水でも、青さ、クリーミーさ、木質感、甘さの配分は一様ではありません。