
24コア光ファイバーで毎秒3.2ペタビット
中国信科集団の光通信技術・ネットワーク全国重点実験室は、鵬城実験室、烽火藤倉光纖科技と共同で、24コア光ファイバーを使い、毎秒3.2ペタビット(Pb/s)のリアルタイム光伝送を実現しました。光通信分野の記録を更新し、同じチームが今年3月に達成した毎秒2.5ペタビットを上回ります。
毎秒3.2ペタビットは、1秒間に2万本を超える4K映画を送れる速度に相当します。また、千兆ビット毎秒の通信を約320万世帯が同時に利用できる容量として示されています。
実験では、24個のコアを持つ1本の光ファイバーで、S・C・Lの3つの波長帯と空間分割多重を組み合わせました。空間分割多重は、光ファイバー内の複数のコアを並列の伝送路として使い、同時にデータを送る方式です。
実時間処理と10.3キロの伝送
今回の記録では、受信した信号を後から実験室の装置で処理する方式ではなく、商用規格に沿った機器構成でリアルタイムに処理しました。試験には商用向けに設計されたコヒーレント光トランシーバーを使い、双方向で伝送しました。
伝送距離は10.3キロでした。この距離は、データセンターの構内や都市圏内の接続に相当します。同じ24コア光ファイバーを使った実験室での伝送記録は毎秒5.29ペタビットに達していますが、この記録には高度な信号処理や実験用機器が使われています。
研究チームは、コア間で信号が干渉する問題や、波長帯ごとに異なる仕様への対応に取り組みました。空間分割多重とS・C・L帯の多帯域伝送を組み合わせた試験で、商用規格に沿う機器構成を用いたリアルタイム伝送を実現しました。この試験は、処理方法や機器構成が従来の実験室記録とは異なります。
大容量化を支える光ファイバー技術
24コア光ファイバーは、1本のファイバーの中に複数の光の通り道を設け、伝送容量を増やす構造です。今回の方式では3つの波長帯も利用し、コアと波長を組み合わせて多数の並列チャネルを構成しました。
S帯では波長あたり毎秒400ギガビット、C帯とL帯では波長あたり毎秒1.2テラビットの伝送を行いました。ファイバーのコア配置を工夫してコア間の干渉を抑え、リアルタイム処理に収まる信号補正を可能にしました。
通常の単一コア光ファイバーは、C帯とL帯を使うシステムで毎秒約100テラビットが目安とされ、今回の記録は総伝送容量で約32倍に当たります。ただし、今回の実験で示した伝送距離は10.3キロです。中国チームは今後の用途として、計算拠点間の接続や基幹ネットワークの容量拡大などを挙げています。
発表・論文と今後の研究
この成果は、国際光ファイバー通信会議OFC 2026に採択され、「高スコア論文」と評価されました。また、国際的な査読付き学術誌への掲載に招待されています。
湖北省経済・情報化当局は、2026年が中国で実用化された最初の光ファイバー誕生から50年に当たると説明しています。同当局は「十五五」期の情報通信計画で、光通信を重点分野に位置づけ、算網融合、毎秒400ギガビット超の高速伝送、万兆光ネットワークを今後のキーワードとして挙げました。
中国信科集団は、光通信のチップや部品からシステムまでを自社で開発する能力を持ち、長距離・大容量・高速伝送の研究に取り組んできたとしています。今回の記録では、複数コアと複数波長帯を組み合わせたリアルタイム伝送を実証しました。









