
MITなどの研究チームは、粒子をつなぐ分子を柔らかくし、ナノ粒子同士の結合数を調整する方法を示しました。この手法で、これまで確認されていなかった結晶構造を作製しています。リガンドの柔軟性を設計変数にすると、粒子の形や表面加工に頼らず、結合の仕方を変えられます。
粒子の結び方を柔軟性で調整
ナノ粒子超格子とは、ナノメートルサイズの粒子が規則的に並んだ構造です。粒子間の相互作用を利用して構造を設計できますが、従来は粒子同士が密に詰まり、近くの粒子との結合が多くなる傾向がありました。
粒子表面のリガンドは、粒子同士をつなぐ分子です。今回の研究では、形状や表面の一部を加工した粒子ではなく、柔軟で電荷を持つリガンドを備えた粒子を組み立てました。
研究チームは金ナノ粒子に、柔軟な高分子PEGをもとにしたリガンドを取り付け、先端に正または負の電荷を持たせました。反対の電荷を持つ粒子を組み合わせ、実験とシミュレーションで構造の形成を調べています。
リガンドが粒子間で並び直す
リガンドの柔軟性が十分に高いと、粒子が集まる際に分子が粒子間の界面に沿って再配置されます。その結果、粒子の形状にあらかじめ結合方向を刻み込まなくても、組み立ての過程で粒子あたりの結合数が定まります。
リガンドの変形しやすさが増すほど、結晶格子で各粒子が隣接粒子と結ぶ数が減ることが示されました。従来は粒子の形状で結合数を決めると考えられていましたが、研究チームは、組み立て中に生じる結合の性質も結合数を左右することを示しました。
リガンドの長さや粒子の大きさも、粒子間のつながり方を調整する要素です。研究チームは粒子サイズとリガンド鎖の長さを変えて結合を制御し、小さい粒子では結合数が少なくなる例を確認しました。
新しい結晶構造を作製
実験では、これまで見られなかった秩序だった結晶構造が作られました。リガンドが粒子間で並び直すことで、粒子の密度や対称性が硬い球を詰めた場合に予想されるものとは異なる格子も形成されます。
従来は、粒子の形状を変えたり、粒子表面の特定部分を接着しやすくしたりして結合パターンを調整していました。今回の方法では、粒子自体を異方的な形にする代わりに、柔軟なリガンドが作る結合数を利用します。
研究チームが応用先として挙げるのは、光を制御するフォトニクス、化学反応を促す触媒、医療、農業向けの材料設計です。今回作製した材料の機能性は、今後の検証課題です。
応用に向けた次の検証
研究チームは今後、金以外の粒子材料や異なるリガンドの組み合わせを試し、実際の条件で材料を評価する予定です。
研究成果は2026年11月2日付で『Nature Materials』に掲載されました。







