脳振盪の症状が続く11〜18歳の若者を対象にした試験では、段階的な有酸素運動を週1回のビデオ通話で支援したグループのほうが、ストレッチを行ったグループより症状が速く改善しました。ただし、グループ間の差が見られた時点や対象者は限られており、運動の再開は医療者の管理下で進める必要があります。
6週間の運動支援で3カ月後の改善に差
試験には、受傷後も症状があり、スポーツ復帰の許可を得ていない210人が参加しました。受傷から登録までの期間は平均73日で、104人が有酸素運動、106人がストレッチに割り当てられました。両グループとも通常の脳振盪ケアを続けました。
有酸素運動グループは、年齢から設定した毎分約120回の心拍数を目安に、まず10分間運動しました。症状が2点以上悪化した場合は中止するよう指示され、運動の種類は担当医療者が承認した範囲で選びました。
週1回、6週間のビデオ通話でコーチが運動状況と症状を確認しました。耐えられる範囲に応じて目標心拍数を約150回まで上げ、その後は運動時間を延ばしました。ストレッチグループにも毎日の運動と週1回のコーチングがありました。
3カ月後に見られた差と対象者の範囲
登録から3カ月後、有酸素運動グループは、症状と健康関連の生活の質でストレッチグループを上回る改善を報告しました。群間の追加改善は、症状質問票で平均約3点、生活の質の尺度で約4点でした。
一方、6週後と6カ月後には、症状や健康関連の生活の質についてグループ間に統計的に有意な差はありませんでした。睡眠、不安、抑うつの症状は両グループで改善しましたが、有酸素運動による明確な追加効果は確認されていません。
受傷後90日以内に試験へ登録した人には追加の利点が見られましたが、90日を超えてから登録した人には、ストレッチを上回る明確な利点はありませんでした。この分析は探索的なもので、対象者の多くはスポーツ中に受傷していました。
国内の競技復帰プロトコルが示す進め方
2024年の日本アスレティックトレーニング学会誌の解説で扱われた段階的な競技復帰は、国際スポーツ脳振盪会議の共同声明などを踏まえています。学生は競技復帰に加え、学業にも段階的に復帰します。
このプロトコルでは、症状を悪化させない日常生活の活動から始め、次に有酸素運動へ進みます。ウォーキングやエアロバイクなどで心拍数を上げ、その後、頭部への衝撃リスクがない競技別の個人練習に移ります。
受傷後24〜48時間の完全な休息を必須とする考え方は、第6回国際会議で更新され、症状を悪化させない範囲の日常活動は受傷後早期から始められるとされています。各段階には少なくとも24時間かけ、運動中や運動後に症状が悪化した場合は進行を止めます。競技に復帰する前に、医療専門家が症状や認知機能などを確認します。
症状が出た場合の調整と医療者の関与
日本バスケットボール協会が2020年に示した手順では、日常生活や学業に戻った後、軽い有酸素運動、接触のない競技動作、接触のある動作へと段階的に進みます。運動中に頭痛や吐き気が出た場合は中止し、翌日に症状がないことを確認して、一つ前の段階から再開します。
この手順では、競技復帰まで各段階で症状がないことを確かめ、競技に戻る前に医師の許可を得ます。2024年の解説で示された対応では、脳振盪の症状が残る選手は医療者と連携して評価を受け、症状が回復しない場合は、より専門的なリハビリテーションが必要になるとされています。
今回の試験では、運動、フィットネストラッカー、活動再開の許可がそれぞれ改善にどの程度寄与したかを分けて評価できませんでした。また、運動が症状に作用する仕組みも測定していません。研究参加に関連する有害事象は報告されていませんが、研究チームは、医療者に相談すること、症状が悪化したら伝えること、許可が出るまでスポーツなど制限された活動を避けることを強調しています。









