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Photo by Jessie Shaw on Unsplash

褐色脂肪が見える患者で診断割合に差

画像検査で褐色脂肪が確認された患者では、確認されなかった患者より、うつ病エピソードや不安障害の診断記録が少ないという関連が報告されました。対象はがん専門病院の患者で、褐色脂肪の有無と診断記録を比較した研究です。

褐色脂肪は、寒さなどで活性化すると熱をつくる脂肪組織です。研究では、臨床上の理由で撮影されたPET/CT画像を使い、放射性の糖トレーサーが集まる組織として褐色脂肪を判定しました。

褐色脂肪が検出された患者のうち、うつ病エピソードの診断記録があった割合は5.4%でした。検出されなかった患者では8.2%でした。不安障害の診断記録も、褐色脂肪が見える患者で少ない傾向でした。

10万人超の診療記録を解析

Natureに掲載された研究では、ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターに通院した101,243人の診療記録を分析しました。うち8,897人で褐色脂肪が確認され、92,346人では確認されませんでした。

年齢、性別、BMI、撮影時の気温をそろえた比較では、褐色脂肪がある群8,897人と、ない群17,405人を対象にしました。がんの部位や病期、治療、喫煙歴なども統計解析で考慮されています。

診断コードを使った全身の疾患分析では、褐色脂肪の有無と有意な関連を示した98項目のうち、92項目で褐色脂肪がある患者の診断割合が低くなりました。褐色脂肪との関連が強い領域として、心血管系と精神疾患の診断が挙がっています。

褐色脂肪の熱産生と糖の取り込み

褐色脂肪細胞のミトコンドリアには、脱共役タンパク質1(UCP1)があります。UCP1は、ミトコンドリアでATPを合成する過程を切り離し、そのエネルギーを熱として放出します。

寒冷刺激などで交感神経が働くと、褐色脂肪細胞で脂肪が分解され、脂肪酸が生じます。脂肪酸は熱産生の燃料になるほか、UCP1を直接活性化します。

UCP1の活性化に伴い、褐色脂肪細胞へのグルコースと脂肪酸の取り込みも増えます。PET/CTで使う糖トレーサーが褐色脂肪に集まる性質を、活動している組織の検出に利用します。

がん患者の集団で得られた結果

この研究の対象はがんセンターの患者で、比較群の4分の3以上が女性でした。褐色脂肪の有無によって、がんの種類や治療内容にも違いがありました。

統計上の調整後も関連は残りましたが、がんの種類や治療が結果に影響した可能性は排除できません。したがって、この患者集団で見られた診断割合の差を一般の人にそのまま当てはめることはできません。

また、この研究は過去の診療記録を振り返って調べたもので、褐色脂肪が不安やうつを減らす原因だとは示していません。研究チームは、褐色脂肪を活性化する薬や方法を試す際に、患者の不安・うつの変化も記録する必要があると述べています。