
閉経後女性51人を対象にした小規模研究で、エストロゲンとテストステロンの併用療法中に、腰椎の骨密度スコアが有意に上昇しました。エストロゲン単独では、調べた部位のスコアに有意な上昇はなく、併用療法中も大腿骨頸部と股関節のスコアは安定していました。
51人の骨密度を2種類の治療期間で比較
参加者は同じ病院で、エストロゲン単独とエストロゲン・テストステロン併用の両方を、それぞれ少なくとも1年間受けました。研究では治療開始時と各治療期間中に、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)で腰椎、大腿骨頸部、股関節の骨密度を測定しました。
参加者の追跡期間は平均4.1年で、エストロゲン単独の治療期間は平均3.5年、併用療法は平均3.1年でした。エストロゲン単独の期間には3部位のTスコアはいずれも有意に上がらず、併用療法の期間には腰椎のTスコアが有意に上昇しました。
Tスコアは骨密度を評価する指標です。併用療法中の上昇は腰椎に限られ、大腿骨頸部と股関節では両方の治療期間を通じてスコアが安定していました。研究を率いた南カリフォルニア大学のSona Davis氏は、閉経期の治療を個々の健康状態に合わせるため、テストステロンの安全で効果的な使い方をさらに調べたいと述べています。
テストステロンが骨に作用する仕組み
テストステロンなどのアンドロゲンは、骨のアンドロゲン受容体を介して骨に直接作用する可能性があります。また、脂肪などの組織でエストロゲンに変換された後、エストロゲン受容体を介して間接的に作用する経路も考えられています。これらはホルモンが骨に影響する仕組みとして研究されています。
65歳以上の閉経後女性68人を調べた横断研究では、テストステロン値と股関節のTスコアに統計的な関連が見られましたが、腰椎のTスコアとの関連は確認されませんでした。この研究はホルモン値と骨密度の関連を調べたもので、テストステロン補充の効果を検証した試験ではありません。
今回の併用療法の研究では、エストロゲンにテストステロンを加えた期間に腰椎のスコアが上がりました。研究者らは、テストステロンがエストロゲンと相乗的に働き、とくに脊椎の骨に作用する可能性を挙げています。研究者らは、骨密度の上昇が骨折リスクを下げるかを評価するため、臨床的な効果を別途確かめる必要があるとしています。
骨折予防を示す標準薬とは評価段階が異なる
骨粗しょう症の薬には、骨吸収を抑える薬と骨形成を促す薬があり、ビスホスホネートやデノスマブは骨吸収を抑える薬に含まれます。ビスホスホネートは骨密度を高め、腰椎や大腿骨の骨折を減らす効果が大規模な臨床試験で示されています。骨粗しょう症治療の目標は骨折予防であり、薬を続けることも重要です。
一方、51人の併用療法研究で示されたのは、治療期間中の骨密度スコアの変化です。テストステロン併用療法について、骨折を減らす効果は示されていません。研究者らは、より大規模で長期の試験と、骨折リスクを評価する結果が必要だとしています。骨密度の上昇を、骨折予防の実績がある標準薬と同じ水準の効果として扱うことはできません。
この研究は2026年10月の北米閉経学会年次総会で発表されましたが、査読付き論文としてはまだ公表されていません。








