
1903年の宮廷舞踏会で皇太后が着用
ロマノフ家ゆかりの197.80カラットのセイロン産サファイアが、11月11日にジュネーブで開かれるサザビーズの宝飾品オークションに出品されます。ロシア皇室の所有品として記録され、1903年の冬宮舞踏会で皇太后マリア・フョードロヴナが着用した宝石です。
サファイアは未加熱で、ファベルジェが手がけたダイヤモンドの枠に以前は留められていました。現在はカルティエ製のブレスレットにセットされ、サザビーズのロット1080として出品されます。
オークションには王族や貴族に由来する宝飾品80点が並びます。ロマノフ・サファイアの落札予想価格は85万〜170万スイスフラン(約1億6,000万〜3億2,000万円)です。
革命後に分散した皇室の宝飾品
1917年のロシア革命後、ソビエト政府は皇室の宝飾品を目録にまとめ、1920年代には国外での売却が進みました。
1924〜1926年に作成されたロシア皇室宝飾品の目録には、このサファイアがファベルジェ製のダイヤモンド枠に留められ、249.25カラットの別のサファイアと一組の留め具として記録されています。
1927年には仲介業者を通じて、国庫に保管されていた宝飾品124点がクリスティーズで競売にかけられました。ソビエト政府による売却は1920年代後半から1930年代にも続き、ダイヤモンド基金の目録に載った773点のうち約4分の3が売却などで分散したと推定されています。
ブレスレットと宝石の来歴
マリア・フョードロヴナは1903年の冬宮舞踏会で、このサファイアを同じく大型のサファイアとともに衣装の前面に着けていました。
サファイアはその後、複数のネックレスなどに仕立て直され、2015年に現在のブレスレットへ再びセットされました。ブレスレットには、三角形のダイヤモンドをあしらった水晶の中心部分を交換できる仕組みがあります。
現在の形は、サファイアを主役にしたカルティエのデザインです。オークションではサファイア本体とブレスレットが一体の品として扱われます。
「セイロン産」と「未加熱」が示すこと
セイロンは現在のスリランカの旧称で、セイロン・サファイアはスリランカ産のサファイアを指します。 サファイアはコランダムという鉱物の一種で、産地の判定は宝石の色や大きさとは別の情報です。
この石については、SSEFとギュベリンの鑑別報告がセイロン産、未加熱としています。 「加熱の兆候なし」は処理に関する鑑別結果で、石全体の品質評価そのものではありません。
スリランカ産のサファイアは青色以外にも、ピンク、黄色、オレンジ、紫、緑などの色があります。 Sotheby’sは、未加熱の石は加熱処理された石より希少で、鑑別機関の証明が価値の判断に関わると説明しています。
大型サファイアとの重量比較
197.80カラットは、著名な大型サファイアの中でも大きな重量です。スリランカ産のスター・オブ・ボンベイは182カラットで、このサファイアより軽い一方、ローガン・サファイアは422.99カラットです。
スター・オブ・インディアは563.35カラット、スター・オブ・アダムは1,404.49カラットとされています。 いずれもロマノフ・サファイアを上回る重量ですが、スター・オブ・インディアとスター・オブ・アダムは星状の光を示すスターサファイアです。
重量だけを比べると、ロマノフ・サファイアはスター・オブ・ボンベイを上回り、ローガン・サファイアやスター・オブ・インディアには及びません。 今回の出品では、大きさに加えて、ロシア皇室での来歴と現在のブレスレットの形が品物の特徴になっています。












