
繊維状粒子と曝露期間で死亡率に差
ニジマスを使った研究で、マイクロプラスチックの形状とウイルスにさらされる前後の期間が、感染症の重症度に関係することが示されました。感染性造血器壊死ウイルス(IHNV)にマイクロファイバーを組み合わせた魚では、球状のマイクロプラスチックを組み合わせた魚や、ウイルスだけにさらした魚より死亡率が有意に高くなりました。

研究ではナイロン製の微粒子と繊維を比較し、宿主にはニジマスを用いました。調べたのは、マイクロプラスチックの形状によってIHNVの病原性に違いが生じるかどうかです。
死亡率の差が有意だったのは、ウイルスを導入する30日前から導入後30日まで、継続してマイクロプラスチックに曝露した条件でした。ウイルス感染の前だけ、または後だけに曝露した条件では、同じ有意差は確認されませんでした。
研究者が挙げる組織への影響
研究者らは、繊維状粒子と曝露期間の組み合わせで死亡率が変わった理由として、上皮組織の完全性が損なわれることとの関連を仮説として挙げています。
この研究が比較したのは粒子の形状と曝露時期であり、要旨では上皮組織への損傷が実験で直接確認されたとは述べていません。したがって、死亡率の差と組織への影響は、研究者が示した仮説として区別されます。
研究者らは、養殖や屋内環境を含む複数の環境で、マイクロプラスチックの物理的な形状や曝露の時期・期間が感染症の重症度にどう関わるか、さらに調べる必要があるとしています。
IHNVは養殖魚にも損失をもたらす
IHNVはサケ科魚類などに感染するウイルスで、米国農務省動植物検疫局(USDA APHIS)は、野生・放流強化されたベニザケや養殖ニジマスで大きな損失が生じた例を挙げています。
USDA APHISは、IHNVの拡大には感染した卵や稚魚の移動が関与すると考えられているとしています。 また、厳格なバイオセキュリティ対策は病原体の侵入リスクを下げるとし、養殖場への再侵入は給水を確保できていない場合に起こり得るとしています。
米国地質調査所(USGS)は、IHNがサケやマスのウイルス性疾患で、特に淡水養殖で経済的な重要性があると説明しています。稚魚や小さな幼魚は感染しやすく、成長に伴って抵抗性が高まる傾向があり、稚魚では死亡率が100%に達する場合もあります。
養殖場での発生例と管理策
ブリティッシュコロンビア州の海面養殖アトランティックサーモンでは、1992~1996年の18件のIHN発生を調べた研究で、IHNVに関連する累積死亡率は平均47%、発生期間は平均5.8カ月でした。
同研究では、養殖場周辺のウイルス量と養殖場間の拡散を抑える地域管理計画の導入後、IHNの発生率が大きく低下しました。 研究者らは、魚の移動、感染後に生き残った魚と未感染魚を同居させること、器具の移動などが養殖場間の二次拡散につながった可能性を挙げ、養殖場のバイオセキュリティで多くの発生を防げる可能性を示しました。
アトランティックサーモンの養殖場での発生記録と、ニジマスを用いたマイクロプラスチックの実験は、対象とした魚や条件が異なります。今回の実験結果は、養殖魚の感染症を考える際に、ウイルスへの曝露だけでなく、粒子の形状と曝露期間も調べる必要性を示しています。










