AIを搭載した眼鏡や指輪などのウェアラブル端末が増える一方、撮影や録音をめぐる懸念も強まっています。スマートリングを手がけるOuraは、IPO(新規株式公開)の延期理由に市場の不確実性を挙げました。カメラ付き眼鏡への反発や、スマートフォンとの差別化も市場の課題です。
OuraのIPO延期と広がる製品展開
Apple、Google、Metaなどは、眼鏡や指輪、チャーム、ペンダント型のAI端末を展開しています。Metaはアプリと連携するチャーム型端末「Muse Charm」を発表し、AppleはApple Watch Series 12に会話を聞き取るAI機能を加えました。OpenAIも個人向けアシスタント「Dots」を発表しましたが、報道によると、ウェアラブル端末ではないとみられています。
Ouraは予定していたIPOを直前に延期し、その理由を「IPO市場の不確実性」と説明しました。市場アナリストのAnshel Sag氏は、延期には市場環境以外の要因がある可能性を指摘しましたが、具体的な理由は挙げていません。Ouraは製品需要の強さを示していたと報じられています。
撮影ランプの仕組みと残る懸念
MetaのRay-Banスマートグラスは、フレームにカメラとマイクを備え、音声操作で写真や動画を撮影できます。Metaによると、撮影中は前面のLEDが点灯し、消灯したり覆われたりした場合は撮影を止める仕組みです。同社は周囲の人のプライバシーを尊重し、撮影前に許可を得るよう案内しています。
ただし、ランプが周囲の人に気づかれやすいか、仕組みを回避できないかについては異論があります。オランダの消費者団体Consumentenbondは、屋外や離れた場所ではランプが見えにくい場合があり、専用のシールでランプを覆っても撮影できたと報告しました。Metaはランプを覆うと撮影できないと説明していますが、同団体はソフトウェア更新後の試験でも回避できたとしています。
Metaは2026年8月、撮影開始後にLEDを覆うと録画を止めるソフトウェア更新を展開しました。更新前は録画開始時にだけランプを確認し、撮影中に覆われても録画が続く仕組みだったとされています。オランダの団体は9月の試験で更新後にも回避できたと報告しており、ランプを使った対策の実効性は引き続き論点です。
オランダのデータ保護当局は、カメラ付き眼鏡では周囲の人が撮影に気づきにくく、ランプだけでは撮影を知らせる要件を満たさない場合があると説明しています。識別可能な人物の映像は個人データに当たり得るともしています。ConsumentenbondはMetaに改善を求め、応じなければ提訴すると表明しました。販売面では、オランダとベルギーの小売店がプライバシー懸念を理由に販売を一時停止しています。
利便性と日常利用の隔たり
カメラ付き眼鏡をめぐる反発には、撮影機能の便利さと、周囲から撮影が分かりにくいことの両面があります。英国でも、パブチェーンのWetherspoonsや会員制クラブのSoho House、劇場運営会社が、許可のない撮影や眼鏡の使用に制限を設けています。
AIウェアラブル全体でも、スマートフォンにはない用途を示せるかが課題です。Rabbit R1については、スマートフォンと明確に異なる使い道が乏しく、技術面・ハードウェア面の問題もあったと報じられています。Humane AI Pinは利用者の評価が振るわず、販売を終了しました。







