robot and human hands reaching toward ai text
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英国のプロダクティビティ・インスティテュートは、AIの利用が広がっても企業全体の生産性向上に結び付くとは限らないとして、業務の再設計や従業員の技能育成を含む導入策を示しました。個々の作業が速くなっても、確認や調整の仕事が残れば、企業の成果に反映されるまでに時間がかかります。

AIの利用拡大と企業成果の間にある差

Bytesとプロダクティビティ・インスティテュートの調査では、企業の89%が少なくとも1つの業務機能でAIを使っています。一方、試験導入を越えて日常業務に取り入れた企業は46%、AIに合わせて業務フローを再設計した企業は4社に1社でした。

AIから実質的な価値を得た企業、つまりAIがEBIT(利払い・税引き前利益)の少なくとも5%を生み出した企業は6%でした。AIの利用率と利益への寄与率には差があります。

生産性の測定では、作業単位と組織単位を区別する必要があります。GitHub Copilotを使う開発者は完了するタスクが約26%増え、ChatGPTを定型的な文章作成や分析に使う専門職では、作業時間が40%短くなり、成果物の質が18%向上した例が紹介されています。

作業の効率化が全体の成果に直結しない理由

AI開発支援ツールの利用では、コーディング活動が約240%増えた一方、実際に公開されたソフトウェアは約30%増にとどまりました。公開前に人が確認やテストを行う必要があり、作業量の増加はそのままリリース数の増加にはなりませんでした。

職業は自動化できる作業だけで成り立つわけではありません。判断、他者との調整、顧客との対話、批判的思考も含まれるため、一部の作業が短縮されると、残る人の作業が時間短縮や全体の生産性向上を制約することがあります。

AIへの「曝露度」は、職業の作業とAIが担える能力との重なりを測る指標です。OECDの分析は、この指標を23カ国の労働力調査と組み合わせ、職業ごとのAIへの曝露度と雇用の関係を調べました。

曝露度と人の技能は別の視点

曝露度が高いことは、仕事にAIが関わりうる作業が多いことを示しますが、それだけで労働者の生産性が高まるとは限りません。仕事に含まれるAI対応可能な作業の割合と、人の仕事がAIを補うかどうかは別の観点です。

OECDは、2012~2019年に分析対象となった職業のほぼすべてで雇用が増え、全体ではAIへの曝露度と雇用成長との明確な関係は見られなかったとしています。一方、コンピューター利用が多い職業では、曝露度が高いほど雇用成長も高い関係がありました。

別のOECD分析では、AIへの曝露度が高い職業の求人の72%が管理技能を、67%がビジネス技能を、58%がデジタル技能を求めていました。保険会社の例では、AIが顧客対応の問題を予測した後、担当者はファイル分析に費やす時間を減らし、顧客との対話により多く取り組むよう仕事を変えます。

導入後の調整と効果が表れるまでの時間

汎用技術は幅広い分野で使われる技術です。その導入には、技術自体に加え、利用側の工程や組織を変える補完的な取り組みが関わります。AIの利益を考える際も、便益だけでなく、導入に伴う費用や調整を合わせて見る必要があります。

電力やインターネットのような汎用技術では、設備や業務の変更など、技術を活用するための追加投資が必要になります。AIについても、従業員の再訓練や業務の組み替えといった費用が先に発生し、投資効果が後から表れる可能性があります。

2017年の研究は、AIを含む汎用技術の効果が十分に表れるには、補完的な革新の開発と導入が必要だと論じました。また、組織変更や新たな技能の習得にかかる調整費用を、無形資本への投資として捉えています。

プロダクティビティ・インスティテュートの主著者、バート・ファン・アーク氏は、AIの潜在的な生産性効果を事業全体の成果につなげるには、経営、技能、業務フローの再設計への投資が必要だと述べました。組織の戦略に沿った用途を選び、従業員が知識やデータを共有できるようにすることも、同研究所が導入策として挙げました。