Backlit Laptop Keyboard
写真: Gre123gr / CC0 / Wikimedia Commons

実験的なプロジェクト「Snapintosh」が、QualcommのSnapdragon X2 Eliteを搭載したASUS Zenbook A16でmacOS 27を起動し、GPUアクセラレーションを使ったデスクトップ表示を実現しました。 対象は1機種に限られ、MacとのUSB-C接続が必要です。音声やカメラなど、複数の機能には対応していません。

Zenbook A16でmacOSのデスクトップを起動

Snapintoshの対象は、Snapdragon X2 Elite X2E-96-100を搭載するASUS Zenbook A16(UX3607OA)です。macOS 27のビルド26A428がデスクトップまで起動し、内蔵GPUによる描画も動作します。

Snapintoshは、macOSの標準カーネルをそのまま使い、Appleシリコン向けカーネルが期待する環境を別のハードウェア上に用意するハイパーバイザーです。OSとハードウェアの間で動作し、今回の構成ではカーネルが必要とする呼び出しやデバイスを仲介します。

画面描画にはノートPC内蔵のAdreno X2-90 GPUを使います。専用GPUドライバーと、AppleのMetal用シェーダー表現をAdreno向けに変換するコンパイラーを組み合わせており、ソフトウェア描画やCPUによる代替描画ではありません。

MacとのUSB-C接続を使う起動環境

起動にはZenbook A16に加えて、macOS 27を動かすMacも必要です。両者をUSB-Cで接続し、Mac側で起動処理やファイル転送、ログ取得を行います。

PCのUEFIファームウェアの後に「q1n1」という中継環境が動き、その上でSnapintoshのハイパーバイザーがmacOSカーネルを起動します。q1n1はUSB-C経由のネットワーク接続を作り、Mac上の制御ツールと対象PCをつなぎます。

Intel系Hackintoshの構成例では、HP ProDesk 400 G1にOpenCoreのEFI環境を使い、Mac OS X TigerからmacOS Sonomaまでを同じマシンで起動しています。この構成でもTigerにはカスタムカーネルが必要で、Snow LeopardとLionではCPU情報の偽装が必要でした。グラフィックスカードの世代に応じたパッチや、Tigerでのストレージ設定も個別の調整点として挙げられています。

動作する機能と未対応の機能

Zenbook A16の内蔵キーボードとタッチパッドは動作し、トラックパッドのジェスチャーやアプリ切り替えも使えます。macOSは内蔵NVMeストレージにインストールされ、そこから起動します。

Wi-FiはMac側の中継ツールを介して試験され、ネットワークの検出、WPA2接続、IPアドレスの取得、通信確認までできています。一方、macOSのWi-Fiメニューからネットワークに参加する機能はまだ動作しません。

音声、カメラ、Bluetooth、スリープ、外部ディスプレイには対応していません。デスクトップ操作は可能ですが、画面の滑らかさは開発中で、まず約60Hzでの安定動作を目指しています。

1機種向けの実験段階

Snapintoshのモニターやデバイス設定はZenbook A16向けに作られており、現時点で対応するPCはこのモデルだけです。

導入にはmacOSの復元イメージやカーネル開発キット、GPUやWi-Fiのファームウェアなどを利用者自身で用意する必要があります。macOSの起動に必要なソフトウェア一式はプロジェクトに含まれていません。

Snapintoshは内蔵SSDに書き込み、インストール時にパーティション構成を変更します。プロジェクトは実験的なソフトウェアとして公開されており、クラッシュや停止、再起動の可能性も説明されています。