
ステランティスは、フィアット500eとマセラティ・グレカーレをベースに、ハンドルから手を離して走行する運転支援システムの試作車を公開しました。「レベル2++」と呼ぶ新システムは、高速道路と市街地で出発地から目的地までのハンズフリー走行を目指し、初の搭載量産車を2028年に北米で発売する予定です。
2車種で試すWayveの運転AI
試作車は、運転を担うAIソフトウェア「Wayve AI Driver」を使った「STLA AutoDrive powered by Wayve」を搭載しています。ステランティスは、この2車種を通じて、車種ごとに独立したシステムを開発せずに技術を展開できる可能性を示しています。
ステランティスは、今後この運転支援技術を、より多くのブランドや車両設計、顧客層へ広げる方針です。新システムは将来の機能更新も考慮して設計されていますが、ステランティスは2028年に発売する最初の搭載車の車種名を公表していません。
高速道路に加え、市街地での走行を目指す
ステランティスは、新システムの対象として高速道路だけでなく市街地も挙げています。既存の「Hands–Free Active Driving Assist」は北米の20万マイル、約32万1869キロメートルの道路に対応しており、新システムでは出発地から目的地までのハンズフリー走行を目標にしています。
2028年の初搭載車とは別に、新型ジープ・チェロキーは2029年後半に生産を開始する予定です。新型ジープ・チェロキーは、新しい車両基盤「STLA One」を採用する初の米国製車両となる予定で、運転支援システムの初搭載車とは投入時期が異なります。
ハンズフリーと運転の監視は別の条件
ステランティスは今回のシステムを「レベル2++」と呼んでいます。この名称に関連する分類として、自動運転技術を開発するMobileyeは、ハンドルから手を離せる一方で運転者がシステムを監視する機能を「Eyes-on/Hands-off」と整理し、通常「レベル2+」と呼ばれると説明しています。
Mobileyeによると、「レベル2+」はSAEの自動運転分類「J3016」で正式に定義された用語ではありません。Mobileyeの分類では、手を離せることと、運転への注意を外せることを別の軸として扱っています。
「Eyes-on/Hands-off」では、システムが定められた条件の範囲で運転を制御し、運転者がその動作を監視します。Mobileyeは、運転者の注意状態を保つために、運転者監視システムを適切に備える必要があるとしています。
これに対して、Mobileyeは「Eyes-off/Hands-off」と呼ぶ区分では、定められた条件の範囲で運転者による監視を必要とせず、その条件が終了した際に運転者が操作を引き継がない場合には、システムが路肩へ安全に停止する機能を持つと整理しています。
詳細な道路地図に依存しない仕組み
Wayve AI Driverは、道路の形状などを詳細に記録する高精度地図「HDマップ」を必要としない方式です。Wayveは、カメラを中心にレーダーを組み合わせる構成を採り、自動車メーカーは必要に応じて、レーザーで周囲との距離を測るLiDARなどのセンサーを追加できるとしています。
HDマップを使う方式との違いは、道路情報の扱いにあります。Wayveの方式はカメラやセンサーから道路状況をリアルタイムに読み取り、HDマップを使う方式は事前に整備した詳細な道路情報を利用します。HDマップを使う方式では道路の変更に応じて地図を更新する作業が必要になる一方、Wayveの方式は詳細な地図を運転の前提にしません。
Wayveは、HDマップを必要としないことが、導入地域を広げる際の手順を簡素化し、費用を抑えると説明しています。









