カナダ、ランキンインレット空港の改修に8550万ドル 北極圏の民生・防衛両用拠点へ
出典: f35.com

カナダ政府は、ヌナブト準州のランキンインレット空港の滑走路などを改修するため、8550万カナダドルを投じます。空港は地域の旅客・貨物輸送を担うほか、軍用機の受け入れや分散運用を支える施設にも位置付けられています。改修対象は空港の舗装で、F-35の配備計画や航空機の調達とは別の動きです。

8550万ドルで滑走路や誘導路を改修

資金は、カナダ運輸省が所管する北極インフラ基金(AIF)から拠出されます。AIFは2025年予算で導入された総額10億ドルの基金で、北部・北極圏の民生と防衛の双方に役立つ交通インフラを支援します。

工事では、滑走路13-31、誘導路A・C、関連する駐機場など、約14万1000平方メートルの舗装を改修します。空港の安全性、信頼性、受け入れ能力を高め、舗装の供用期間を15〜20年延ばす計画です。

ランキンインレット空港は、ヌナブト準州キヴァリク地域の旅客、貨物、食料、医療機器などの輸送を担います。改修は空港のターミナル整備に続くもので、カナダ国防省による滑走路改修投資と組み合わせ、民生と防衛の両方に使う施設の整備を進めます。

北方の支援拠点としての役割

マーク・カーニー首相は2026年3月、ランキンインレットとケンブリッジベイを「北方作戦支援ノード(NOSN)」に指定しました。NOSNは、より規模の大きい支援拠点を補う二次施設です。カナダ軍の作戦機・戦術機を受け入れ、遠隔地への部隊展開や維持を支えます。

ランキンインレットの滑走路は、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が建設し、CF-18戦闘機や大型輸送機を受け入れられます。マーク・カーニー首相の発表時点で、国防省はこの滑走路を使用していませんでした。改修によって空港の物流機能と軍の活動能力を支える方針です。

カナダのNORAD近代化計画は、航空機や関連インフラを含む防衛能力の維持を柱の一つにしています。イヌビク、イエローナイフ、イカルイトの前方作戦拠点と、グースベイ基地のインフラが整備対象です。また、可能な場合は地域や先住民のパートナーと協議し、軍の需要と北部コミュニティの利益を両立させる方針です。

ジェット排気に耐える飛行場の舗装

ジェットエンジンの排気は、滑走路や誘導路の表面に高温と強い力を与え、コンクリートの熱衝撃や摩耗につながることがあります。表面が剥離・破損する「スポーリング」が進むと、破片が滑走路上に散らばり、航空機の運用に危険を生じさせる可能性があります。

米国立標準局が1966年にまとめた研究では、コンクリートを高温の炉で加熱したほか、ジェット排気を模した小型バーナーで試験しました。排気の温度と速度を再現し、熱衝撃を受けたコンクリートの剥離や、その発生の仕組みを調べています。

同局の1962年の試験では、当時の航空施設から集めたコンクリートを、実際の条件に近い温度と速度の熱ガスにさらしました。ミシシッピ州メリディアンの試料は乾燥期間28日後の試験で剥離が見られ、56日後の試料では破損しませんでした。カリフォルニア州チャイナレイクの試料3枚は、乾燥期間が21日、35日、50日のいずれでも剥離しませんでした。

短い滑走路とドラッグシュート

ランキンインレットの滑走路は長さ6000フィート(1829メートル)です。S0は、F-35Aの標準的な運用に理想とされる長さを最大8000フィート(2438メートル)としています。カナダのF-35Aには、着陸時に機体を減速させる着脱式のケブラー製ドラッグシュートを装備する計画があります。

F-35Aのドラッグシュートは、垂直尾翼の間に取り付けるポッドに収納され、着陸後に展開して空気抵抗を生みます。ロッキード・マーティンは、この装置が短く濡れた、または凍結した滑走路で機体の減速を助けると説明しています。ノルウェー、デンマーク、オランダ、ベルギーのF-35Aにも同種の装置が使われています。

一方、ノルウェーでは2019年、ドラッグシュートが想定より頻繁に作動に失敗し、設計変更が進められていると空軍幹部が述べました。F-35統合計画事務所が示した信頼性基準は、使用1万回につき開傘失敗1回以下でした。

イヌビクなどとの役割分担

カナダ政府はイヌビク空港について、国防省の2億3000万ドルの滑走路延伸・近代化投資に加え、運輸省が最大4950万ドルを投じて滑走路とアクセス道路を改修すると発表しました。イヌビクはカナダ空軍とNORADの前方作戦拠点でもあり、旅客、貨物、緊急対応、地域への物資輸送を担います。

ランキンインレットは小規模な支援拠点として、航空機の給油や分散に使う構想です。イヌビクのような主要拠点とは役割が異なります。滑走路の長さから、重い輸送機と完全武装の戦闘機を日常的に同時運用する施設としては位置付けられていません。

カナダが計画するF-35Aの調達は、当初の88機購入計画を対象とする見直しが続いており、S0は現時点の予算上の確約を16機として伝えています。