
銀色の車は1969年型Mach 1
映画『ジョン・ウィック』で主人公が乗る銀色のマスタングは、1969年型Boss 429ではなく、同年式のMach 1です。劇中では敵役のイオセフがBoss 429と呼び、年式を尋ねる場面がありますが、実際に撮影で使われた車種はMach 1でした。
Boss 429は1969年に859台が生産された特別仕様です。映画の車は銀色で、Boss 429のボンネットスクープより小さく、オートマチック車として描かれている点も異なります。Boss 429は4速マニュアルのみの設定でした。
撮影にはMach 1が5台使われ、最初の映画でいずれも大きく損傷しました。このMach 1は2017年公開の続編『ジョン・ウィック:チャプター2』にも登場しています。
劇中車は撮影用の改造を受けた
シリーズの撮影でキアヌ・リーブスが運転した車も、1969年型Mach 1です。続編で使われた1台は、2025年11月にオークションで落札されました。
その車は1969年1月28日にフォードの工場を出た個体で、映画シリーズに車両を提供したジェリ・イメルシが入手していました。屋根には走行用のリグが取り付けられていましたが、倉庫内のジャンプシーンでは取り外されていました。
映画向けにシャシーが強化され、ロールケージも追加されました。一方、エンジンは351立方インチのV8を保っていました。落札額は12万3,200ユーロ(13万8,000ドル)でした。
Boss 429はレース用エンジンを積む希少車
1969年型マスタングのMach 1はGTの後を担い、人気を集めたモデルでした。同年のBoss 429は、NASCAR参戦に向けた認証を得るためのレース用エンジンを搭載する高性能車として位置づけられました。
当時の価格にも差があり、Mach 1ファストバックは3,122ドルから、Boss 429は4,798ドルでした。Boss 429のエンジンをマスタングに搭載するには、ステアリングやサスペンションにも大きな変更が必要でした。
Mach 1には351、390、428立方インチのエンジンが用意され、428 Super Cobra Jet仕様は360馬力でした。1969年型Mach 1の同仕様車について、コンディション別の評価額は6万2,000ドルから16万4,000ドルまでとされています。
現在の価格差は仕様と希少性にも表れる
標準的なMach 1の相場は、走行距離に応じて5万〜8万ドルとされています。一方、Boss 429は直近1年に50万ドルを超える落札例が複数あり、2025年6月には104万5,000ドルで落札された個体もありました。
Boss 429は生産数が限られ、専用の高性能エンジンを持つモデルです。Mach 1は人気を得たものの複数のエンジン設定があり、モデルの位置づけと希少性が異なります。
そのため、映画の車をBoss 429と取り違えると、車種だけでなく中古車価格の目安も大きく異なります。撮影車としての改造や来歴がある個体は、通常のMach 1相場とは別の落札例として扱われています。










