Rome, From Mount Aventine, J.M.W. Turner
出典: th-thumbnailer.cdn-si-edu.com

12月の競売で予想額6600万ドル

J.M.W.ターナーが1830年代に完成させた風景画「アヴェンティーノの丘から見たローマ」が、12月9日にサザビーズの競売に出品されます。予想落札額は6600万ドルで、2014年の落札額をインフレ調整した水準より約15%高い見積もりです。

この作品は2014年に4740万ドルで落札され、競売におけるターナー作品の最高額を記録しました。同年の落札額は手数料込みで3030万ポンドで、事前予想の1500万〜2000万ポンドを上回りました。

2014年の競売では、ターナー作品の記録に加え、20世紀以前の英国人画家の作品としても競売最高額となりました。今回の予想額は、前回の記録を上回る水準です。

ローマの街と、画面に残る制作の跡

絵にはテヴェレ川が流れるローマの街並みが描かれ、前景には司祭と少女が立っています。背景には傘のように広がる松の木があり、街は黄色い日差しに照らされています。

ターナーは1820年代後半にローマを訪れて詳細な習作を5点制作し、その後ロンドンで絵を完成させました。1836年にはロンドンのロイヤル・アカデミーで展示され、当時は色彩を粗雑とみる批評家と、表現を革新的と評価する人々に意見が分かれました。

現在もキャンバスには、筆の毛やパレットナイフの跡、ターナーの指紋が見えます。作品は制作当初の額に入れて競売にかけられる予定です。

2014年の落札までの来歴

依頼主は、ターナーの支援者だったヒュー・アンドリュー・ジョンストン・マンローです。マンローの死後、作品はアーチボルド・プリムローズが購入し、2014年の売却までその子孫のもとにありました。

2014年の競売では、電話で参加した買い手が作品を落札しました。その時点で、マンローのコレクションから1878年に第5代ローズベリー伯爵が購入して以来、作品の持ち主は1度だけ変わっていました。

Close-up on Turner's Rome, From Mount Aventine
出典: th-thumbnailer.cdn-si-edu.com

今回はローマで短期間展示された後、ロンドン、香港、ニューヨークへ移動する予定です。サザビーズ・ヨーロッパの会長マリオ・タヴェッラは、作品が多くの人に鑑賞される美術館に収蔵されることを望むと述べています。

裏打ちを受けていないキャンバス

この作品は、裏打ちを受けていない後期ターナー作品2点のうちの1点です。裏打ち(lining)は、絵画のキャンバスの裏側に新しい布を取り付け、支持体を補強する保存処置です。

ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジによると、元のキャンバスが深刻に傷んだり、経年で脆くなったりした場合、裏打ちは作品を支える助けになります。一方、テートの保存修復研究者スティーブン・ハックニーは、絵の具の盛り上がりやキャンバスの織り目、筆跡が、裏打ちの熱や圧力で損なわれる場合を説明しています。

テートは、保存修復の考え方が変化し、元のキャンバスや絵の具を保つために介入を抑える姿勢が重視されるようになったと述べています。そのため裏打ちは、作品の状態に応じて必要性を検討する大がかりな処置です。

Sotheby's Julian Gascoigne
出典: th-thumbnailer.cdn-si-edu.com