Dali at Work
出典: th-thumbnailer.cdn-si-edu.com

150キロの装丁が盗まれる

フランス中部のイソワールにある現代美術施設から、サルバドール・ダリが制作したブロンズ製の装丁が盗まれました。盗難は10月4日夜から5日朝にかけて起き、装丁の重さは約150キロです。残された本体は約210キロで、装丁だけが持ち去られました。

盗まれたのは、書籍『Livre de l’Apocalypse(黙示録)』の装丁です。所有者のクリスチャン・カルートゾスが運営する施設で展示中、侵入者が展示ケースを壊し、装丁を持ち去りました。本文や聖書の場面を記した羊皮紙は残されました。

捜査はクレルモン=フェランの憲兵隊研究部門が担当しています。カルートゾスは作品を「世界に唯一の作品」と表現し、フランスの文化遺産が失われたと語りました。作品の価値には、金属や宝石など素材の価格だけでなく、美術的・歴史的な価値も含まれます。

14人が参加した美術書

『Livre de l’Apocalypse』は、出版社を営むジョゼフ・フォレが企画し、1958年から1961年にかけて制作されました。画家7人と作家7人の計14人が参加し、ダリのほか、ジャン・コクトーやジャン・ジオノらが名を連ねます。作品は新約聖書の最後に置かれる「ヨハネの黙示録」を題材にしています。

全150ページに文章や聖書の場面が収められ、完成までに2,000時間以上を要しました。本を広げると約150メートルに及ぶとされ、装丁には十字架のほか、宝石、真珠、フォーク、貝殻などが使われています。装丁は本の一部であると同時に、複数の素材を組み合わせた美術作品でもあります。

制作当時、本は200万フランと評価され、当時最も高価な本とみなされていました。1961年の完成後、10年以上にわたって世界各地の約150の展覧会を巡回し、1964年のニューヨーク万国博覧会でも展示されました。カルートゾスは2003年に本を購入しました。

蝋型鋳造で複雑な形を作る

ダリの装丁は、現在は失われた蝋型鋳造の技法で制作されたとされています。蝋型鋳造では、蝋で作った形を耐火性の型で覆い、加熱して蝋を取り除いた後、できた空間に溶かした金属を流し込みます。金属が冷えた後に型を壊すと、蝋の形を写した鋳造品が得られます。

複雑な形や深いくぼみ、自然物のような表面は、蝋型鋳造で作られた可能性を示す特徴になり得ます。蝋は熱で軟らかくなり、手や道具で形を整えたり、彫り込んだりできます。こうして作った蝋の細部が鋳型に写り、金属の表面に反映されます。

大きなブロンズ作品では、内部を空洞にしたり、複数の部分を別々に鋳造して接合したりする方法もあります。Gettyの技術指針では、鋳造法の判断には表面だけでなく、内部の痕跡や放射線画像も手掛かりになると説明しています。複雑な形だけで蝋型鋳造と断定することはできず、砂型鋳造でも似た形を作れる場合があります。

分割売却を免れた作品

カルートゾスが本を購入する前、以前の所有者は作品を分割して個別に売却することを考えていました。2003年に購入された後、本はイソワールで保管・展示され、今回、装丁だけが盗まれました。

制作当時の評価額は200万フランで、1961年当時の約40万8,000ドル、現在の約450万ドルに相当するとされています。一方、所有者は購入額を「数百万ユーロ」と説明しています。これらは異なる時点の金額であり、今回盗まれた装丁だけの価格を示すものではありません。

作品の所有者とイソワール市長は、文化的価値の面から損失の大きさを語っています。

Students and book in 1970
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