トヨタが開発する新世代ミッドシップスポーツについて、レスポンスは2028年の市販化を有力視し、400〜450ps程度の出力とAWD採用の可能性を伝えています。一方、トヨタはMR2の復活、2028年の発売、最終的なパワートレインを正式発表していません。開発では、エンジンを車室後方に置いた「GRヤリスMコンセプト」による実戦テストが進められています。

2028年登場と400ps超は市販仕様の見通し

新世代モデルのエンジン候補は、トヨタが次世代車向けに開発する「G20E」型の2.0リットル直列4気筒ターボです。レスポンスは、市販仕様の最高出力として400〜450ps程度を想定し、駆動方式にはAWD、つまり四輪駆動を組み合わせる可能性があるとしています。

歴代MR2は、ミッドシップエンジンと後輪駆動を基本としてきました。このため、レスポンスが伝えるAWDを採用すれば、歴代MR2では初の駆動方式になります。トヨタは「GR MR2」「GR MR-S」の名称を商標出願していますが、市販車の名称は正式発表していません。

GRヤリスMコンセプトで冷却や耐久性を検証

トヨタは2025年の東京オートサロンで、GRヤリスをベースにした実験車「GRヤリスMコンセプト」を公開しました。通常は車体前方にあるエンジンを車室後方へ移し、新開発の2.0リットル直列4気筒ターボを搭載しています。GRヤリスMコンセプトをスーパー耐久シリーズにも投入し、冷却性能、耐久性、ハンドリングを実戦環境で検証してきました。

2026年7月には、富士スピードウェイ周辺で別の2ドア開発車両が目撃されています。低いルーフ、張り出したフェンダー、大型の側面吸気口を備え、GRヤリスを使ったテスト車両とは異なる外観です。レスポンスは、既存車の部品を流用しているとみられるこの車両を、ミッドシップスポーツ開発の次の段階に進んだものと捉えています。

デザインについては、レスポンスが2023年のジャパンモビリティショーで公開された電気自動車のスポーツコンセプト「FT-Se」を手掛かりに挙げています。FT-Seは車室を前方に配置し、前後の車軸から車体端までの張り出しを短くした、幅広く低い車体が特徴です。

ミッドシップはエンジン位置、AWDは駆動方式

ミッドシップとは、前後の車軸の間にエンジンを置く配置です。GRヤリスMコンセプトのように車室後方へエンジンを置く構成では、重い部品を車体中央へ集められます。一般的な特性として、重量を中央へ集めると車体の向きを変えやすくなり、前後の荷重の偏りを抑えやすくなります。

ただし、ミッドシップという言葉自体は駆動輪を指定しません。「MR」はミッドシップエンジンと後輪駆動の組み合わせを指すため、ミッドシップとAWDは両立する構成です。

車室後方にエンジンを置く場合は、エンジンルームや冷却システムのための空間が必要です。後部座席や荷室の確保が難しくなるという制約もあります。GRヤリスMコンセプトで検証している冷却やハンドリングは、こうした配置を実際の車両で成立させるための開発項目です。

既存のR8では後輪駆動化で50kg軽量化

AWDと後輪駆動の違いを示す既存のミッドシップスポーツとして、アウディR8には両方の仕様があります。2018年の後輪駆動モデル「R8 V10 RWS」は、標準のR8 V10 quattroに対して50kg軽く、車両重量は1590kgです。前輪用のドライブシャフトや差動装置などを省いたことが、主な軽量化要因でした。

一方、RWSの停止状態から100km/hまでの加速時間は3.7秒で、標準のR8より0.3秒長くなっています。carsalesは試乗で、後輪駆動版のステアリングから伝わる情報や、旋回時の応答を肯定的に評価しています。これらは既存のR8各仕様の数値と評価であり、トヨタの新世代モデルの性能予測とは区別されます。

新2.0Lエンジンは電動化との組み合わせも前提

新世代スポーツの候補となる2.0リットルターボには、トヨタの小型エンジン開発という背景があります。トヨタは2024年5月28日、スバル、マツダとともに電動化に適合する新たなエンジン開発を公表しました。新2.0リットルターボは、既存の2.4リットルターボに比べて体積と全高をそれぞれ10%減らし、出力を高める設計です。

トヨタは、各国のエネルギー事情を踏まえ、ハイブリッド車や外部充電できるプラグインハイブリッド車にもエンジンが必要だと考えています。新エンジンはモーターやバッテリーとの組み合わせを前提とし、合成燃料、バイオ燃料、水素などへの対応も開発方針に含めています。中嶋裕樹CTOが説明する狙いは、電動化との適合に加え、エンジンの高さを抑えて車体デザインの自由度を高めることです。

MR2は1984年に登場、MR-Sは2007年に生産終了

MR2は1984年に登場した2人乗りスポーツカーで、国産量産車として早い時期にミッドシップ配置を採用しました。1989年に2代目へ移行し、1999年には日本で「MR-S」と呼ばれたオープンスポーツへと変わっています。MR-Sは2007年に生産を終了しました。