
自動車工場で広がる3Dプリント
リビアン、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)が、車両部品や工場用工具の製造に3Dプリントを取り入れています。デジタル設計から材料を層状に積み上げる積層造形を使い、外部調達や専用工具の製作にかかる時間と費用を抑える取り組みです。
リビアンは3Dプリンターに500万ドル(約7億9,000万円)超を投じ、材料費は年間約170万ドル(約2億7,000万円)に達しています。同社の積層造形部門を率いるジャレッド・ベック氏は、設備費が通常1年以内に回収でき、部品製作を数週間から数日、場合によっては数時間に短縮できると述べています。
用途は試作品に限りません。リビアンは流体試験用のモーター模型、工具用のねじガイドやプレス部品のほか、初期生産車の隙間を埋めるトリム部品にも利用しています。
必要な工具を社内で用意
リビアンは柔軟なシリコーン部品を作れる機械を追加し、イリノイ州ノーマル工場には従業員が必要な部品をオンデマンドで印刷できる設備を設けました。エンジニアが設計した部品を手元で早く試せるよう、社内で利用範囲を広げています。
フォードは各工場に積層造形の部門を置き、ミシガン州ディアボーン近郊のF-150生産拠点では、3Dプリント部品を受け取る自動販売機を導入しました。従業員はアプリから工具や部品を依頼でき、同社のチームが製作方法や対象を決めます。
フォードでは約24台のプリンターを使い、トルクビット用ソケットやボンネットを支える工具、接着剤をならす手工具など、数千点の工具を製造してきました。外部業者から交換部品が届くまで、印刷した加工用ホイールで組立ラインを動かし続けた例もありますが、担当者はその部品の性能が購入品に及ばなかったと説明しています。
工法は数量と初期費用で選ぶ
3Dプリントは金型を作らずに少量の部品を製造できるため、試作や設計変更の多い段階で使いやすい工法です。一方、射出成形は金型の製作に時間と費用がかかるものの、同じ部品を大量に作る場合に向いています。
切削加工は材料を削って部品を作る方法で、治具などの初期費用を抑えやすく、数十から数百個程度の多品種少量生産に適するとされています。3Dプリントは1個から数十個の試作、射出成形は数千個以上の生産が目安として挙げられています。
この目安は製品ごとの見積もりに代わるものではありません。射出成形と切削加工では金型費などに応じて数百から数千個程度で総費用の優劣が変わり、金型費が200万円を超える場合、年間500個の例では切削加工が安くなることが多いとされています。3Dプリントと切削加工も、部品単価を含む総費用をロット数に照らして比べる必要があります。
量産では部品の用途と材料を確認
材料や造形方式によって、3Dプリントで作れる部品は異なります。金型を使わない直接造形では、材料の選択肢がプリンターごとに限られ、大量生産には射出成形が効率的です。また、3Dプリンター製の樹脂金型は金属製金型ほどの耐久性がなく、大量生産には耐えにくいとされています。
フォードは年末までに導入工場を23か所超へ増やす計画を示しています。










