出典: asset.watch.impress.co.jp

アバロンシェルでハチドリの羽を表現

ロールス・ロイス・モーター・カーズは、顧客の妻へのオマージュとして製作した「ファントム・ハミングバード」を発表しました。ファントム・エクステンデッドをベースに、同社のマルケトリー(木材や貝殻などの薄片を組み合わせる装飾技法)で初めてアバロンシェルを採用しています。

アバロンシェルはアワビ貝の内側にある真珠層で、光を受けると青緑色の光沢を放ちます。ロールス・ロイスはこれをマザー・オブ・パールと組み合わせ、ハチドリの羽の色のきらめきを表現しました。

ハチドリのモチーフは、左右のピクニック・テーブルにそれぞれ描かれています。外装では、ボディの2色を分けるホワイト・サンズのコーチラインに、車体に沿って飛ぶハチドリを手描きしました。

3枚のパネルに137片の貝殻素材

2枚のピクニック・テーブルには、それぞれアバロンシェルとマザー・オブ・パールの計53片でハチドリを構成し、翼だけで18片を使いました。後席の間にあるリア・ウォーターフォール・パネルには、84片による植物のモチーフを配しています。

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デザインの開発には構想から完成まで9カ月以上かかり、加工方法を固めるまでに6回の試作を重ねました。薄く割れやすい貝殻素材をベニヤにはめ込むため、デザイナー、エンジニア、職人が切り出しや仕上げの方法を検討しました。

各片はレーザー加工で生じる焼損分を見込んで完成寸法より0.06ミリ大きく切り出し、職人が手作業で正確な形に整えます。断片の縁を隣り合うパーツに合うまで仕上げた後、ラッカーを施しました。3枚のパネルの制作時間は合計45時間で、組み付け後の仕上げにも8時間を要しました。

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木材やレザーも色調をそろえる

3枚のマルケトリー・パネルのベースにはアッシュ・バールを採用し、ピクニック・テーブルのモチーフにはシルバー・バーチを使いました。テーブル用のパーツは、木目をそろえるため、選定した1本の原木から切り出しています。

シートはクリーム・ライトのレザーを基調とし、モカシンとタンのディテールを組み合わせました。床にはシーシェル色のカーペットを敷き、スターライト・ヘッドライナーを組み合わせています。

外装は、ボディ下部がワイルドベリー、上部がホワイト・サンズのツートーン仕上げです。貝殻の光沢や木目、車体色にハチドリのモチーフを配し、内外装に自然をテーマとする意匠を取り入れました。

エクステンデッドをベースに個別製作

ファントム・エクステンデッドは、標準のファントムより全長が8.6インチ長く、ホイールベースは148.5インチです。標準モデルのホイールベースは139.8インチで、差は8.7インチとなります。

後席のレッグルームはエクステンデッドが53.1インチ、標準モデルが43.5インチです。今回の車両は、この後席空間を広げた仕様をベースにしたプライベート・コミッションです。

ロールス・ロイス・プライベート・オフィス・ドバイは、顧客の依頼をデザインや製作につなぐ拠点です。同社は2022年の開設時、現地にビスポークのリードデザイナーと顧客体験マネージャーを常駐させ、グッドウッドの拠点を補完すると説明しました。

顧客との相談では、実物の素材サンプルや視覚化ツールを使って初期案を作り、デザインの方向性が決まった後は、製作を担うエンジニアや職人と詳細を話し合う仕組みです。 ファントム・ハミングバードは、同オフィスを通じて具現化された一台です。