
古代ギリシャへの関心からブランド設立へ
ニューヨーク発のジュエリーブランド「プラウニス」は、古代ギリシャやローマの装飾品に着想を得たデザインを、日常使いできるジュエリーとして制作しています。創業者のジーン・プラウニスは、22Kゴールドと手仕事を軸に、古代の技法を現代のジュエリーへ取り入れています。
ジーンはギリシャ系の祖父から古代ギリシャの文化や歴史を教わり、家にあった美術や歴史の本に親しんで育ちました。幼い頃から絵を描いたり、ものを作ったりするのも好きだったといいます。
高校時代にジュエリー制作を学び、2011年にスキッドモア大学へ進学しました。当初は生物学を専攻しましたが、のちにジュエリーと金工へ転向し、チェーンメイキングやレプセ、グラニュレーションなどの技法を習得しました。卒業後はジュエリーブランドで経験を積み、2017年に自身のブランドを立ち上げています。
22Kゴールドの変化を作品に生かす
プラウニスが使う22Kゴールドは、深みのある色合いと、純度の高さによる柔らかさが特徴です。ジーンは、古代のジュエリーに多く使われてきた素材の歴史にも魅力を感じていると話しています。

金の含有率は、22Kが約91.7%、18Kが75%です。金の割合が高い22Kは18Kより柔らかく、日常的に使うと傷や変形が起こりやすい素材です。18Kは合金の割合が高く、日常使いのジュエリーで形を保ちやすい素材です。
プラウニスでは、加工を重ねると金の硬度が増す一方、身につけるうちに形がわずかに変わることも素材の個性として捉えています。仕上げはマットですが、肌や衣服との摩擦で表面が磨かれ、艶が増していきます。

粒を接合する古代の技法
グラニュレーションは、小さな金の粒を金属の表面に接合し、模様や質感を作る技法です。古代の職人は、粒を一つずつ配置し、銅の化合物と有機物を含む材料を接合部に用いていました。
加熱すると有機物が焼け、接合箇所で金属同士が結びつきます。粒全体を溶かさずに表面へ留めるため、粒の輪郭を生かした装飾が可能です。粒の配置によって線や模様、表面の質感を作るのが、この技法の要点です。

ジーンは大学でこの技法を学び、小さな金の粒を一つずつ接合して装飾を作る工程に惹かれました。プラウニスでは、グラニュレーションに加え、金の輪をつなぐチェーンメイキングなども取り入れています。鋳造やCADといった現代の技術も必要に応じて使い、ジュエリーはすべてニューヨークで制作しています。
日本の工芸との出合いと今後の展開
今回の来日は、シハラがキュレーションする「シハラ ラボ」でのトランクショーに合わせたものです。会場では通常のコレクションに加え、日本のシルクコードを使った限定ネックレス「Silk Cord Discus Necklace」を披露し、顧客ごとに制作する「Intaglio Collection」のカスタムオーダーも受け付けました。

限定ネックレスは、日本伝統の撚り紐による100%シルクのコードに、22Kゴールドのモチーフと天然石を組み合わせています。ジーンは、日本各地に工芸技術が受け継がれていることに関心を寄せ、滞在中には京都でも工芸に触れました。今回得た着想を今後の作品に生かしたいと話しています。
2017年の設立から9周年を迎える2026年9月に合わせ、プラウニスは同年10月に新コレクション「Modern」を発表する予定です。着想源は、ジーンの曽祖父がニューヨークでナイトクラブ「ヴェルサイユ」を営んでいた1920〜30年代の同市です。ジーンはさらに、アーティストとの協業や雑誌の制作、香りの表現にも関心を示しています。












