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下り通信が多い利用傾向

家庭向けインターネットでは、動画の視聴やアプリのダウンロードなど、データの受信量が送信量を上回る利用が一般的です。回線事業者は限られた通信容量を、こうした使われ方に合わせて下り通信へ多く割り当てることがあります。上りと下りの速度に差が生じる背景には、利用者の行動と回線設備の両方があります。

下り通信には、動画や音楽の再生、ゲームやソフトウェアの取得、ウェブページの読み込みなどが含まれます。一方、ログイン情報やコメントの送信は、通常、受信データに比べて小規模です。写真や動画の大量バックアップ、ライブ配信、複数人でのビデオ会議を行う家庭では、上り速度が重要になります。

米国のXfinityのプラン例では、下り300Mbps、500Mbps、1Gbpsの各プランの標準的な上り速度は117Mbpsです。下り2Gbpsのプランでは上り速度が約293Mbpsになります。この例では、下り速度が上がっても、上り速度が同じ比率で増えるとは限りません。

同軸ケーブルでは上下の帯域を分ける

ケーブル回線は、テレビ放送にも使われる同軸ケーブルを通じて通信します。テレビ放送は主に家庭へ信号を届ける仕組みとして整備されてきたため、インターネットで双方向通信を行うには、限られた周波数帯域を上りと下りに割り当てる必要があります。下りに多くの帯域を使う設計は、受信データが多い利用傾向にも合っています。

ケーブル回線の通信規格DOCSISは、同軸ケーブルでインターネット信号を運ぶための標準です。DOCSIS 3.1の規格上の最大速度は下り10Gbps、上り1Gbpsです。実際の提供速度は設備や帯域の分割方式によって異なり、下り最大1Gbps、上り100Mbpsから1Gbps程度です。

DOCSIS 4.0では、下りの規格上の最大速度は10Gbpsのまま、上りは最大6Gbpsへ引き上げられます。規格の更新で上りの能力は高まりますが、規格上の値と個々の契約で使える速度は異なります。ノードやケーブルなどの設備が対応しているかも、実際の提供速度に関わります。

光回線は上下対称の速度を提供しやすい

光回線は光ファイバーでデータを伝送し、同軸ケーブルより大きな帯域を扱えます。光回線のPON方式は上下対称の速度を設計しやすく、一般的な下りと上りの比率は1対1です。同軸を使うDOCSIS回線では、下りと上りの比率は5対1から10対1程度です。

GPONの速度は下り2.5Gbps、上り1.25Gbpsです。XGS-PONは上下ともに10Gbpsの速度に対応します。光回線でも方式によって速度は異なりますが、上りと下りを同じ速度にする構成が可能です。

同軸ケーブルでは、距離や干渉、ネットワークの混雑によって信号の強さや品質が低下することがあります。光ファイバーは光信号でデータを運び、長距離でも信号の品質を保ちやすい方式です。また、同軸を使うケーブル回線では、地域の利用者が同時に通信する時間帯に速度が低下する場合があります。

CDNは下り通信を近くから届ける

動画配信などでは、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)が下り通信を効率化します。CDNは、利用者の近くに置いたサーバーにデータの複製を保存し、遠方の拠点ではなく近くから配信する仕組みです。多くの利用者が同じ動画を見る場合、配信元から個別に長距離転送する負荷を抑えられます。

上り通信では、写真や録画した動画など利用者ごとに異なるデータを、最終的な保存先へ送ります。同じデータを各地に複製しておくCDNの仕組みを、そのまま上り通信に使うことはできません。送信データが遠方のサーバーへ届くまで、回線設備が転送を担います。

光回線は対称速度を提供しやすい一方、ケーブル回線は規格や設備の更新によって上り速度を高められます。ビデオ会議やクラウドへのバックアップを同時に行う場合は、契約プランに記載された上り速度が家庭内の送信量に合うかが実用上のポイントになります。