名村造船所は、全額出資子会社の伊万里スチールセンターを吸収合併します。効力発生日は2027年4月1日で、名村造船所が存続会社となり、伊万里スチールセンターは解散する予定です。造船用鋼板の荷下ろしから加工、品質確認までを担う機能を一体化し、新造船の生産能力拡大に合わせて運営を見直します。
鋼材の前工程を造船所と一体化
伊万里スチールセンターは、佐賀県にある名村造船所の伊万里事業所に隣接しています。船舶建造に使う鋼板の荷下ろし、仕分け、保管、加工、品質保証を担当してきました。
名村造船所は、合併によって意思決定を速め、人員や資源をより適切に配置し、製造効率を高める考えです。採用や人材育成にも役立てるとしています。
鋼板の加工は、船体を構成する部材やブロックを作る工程につながります。名村造船所によると、伊万里事業所の工場には鋼板切断からブロック製作までの設備が並び、切断した部材を小さな部品、大きなブロックへと組み立てます。同社は、切断ヤードで1隻分の多数の部品を鋼板から切り出すと説明しています。
国内造船能力の拡大が背景
今回の組織再編は、名村造船所が新造船事業の拡大を進める中で行われます。日本政府は国内造船業の生産能力を再建する方針を掲げ、2024年の年間生産量約900万総トンを2035年に1,800万総トンへ倍増させる目標を示しました。
政府はロードマップに、10年間で総額3,500億円の政府系基金を設ける方針を盛り込みました。一方、造船業界では人手不足が課題となっています。政府が国内建造能力や経済安全保障を重視するのに対し、企業側は国際競争力やコスト競争力を重視しており、政策と事業戦略の間にずれが生じる可能性も指摘されています。
名村造船所と子会社の函館どつくが関わる投資計画には、国土交通省が最大499億円の政府支援を認めました。同社は大型建造ドックの新設も進めており、伊万里事業所では長さ450メートル、幅70メートルの建造ドックを運用しながら、能力向上に向けた追加整備を行っています。
伊万里事業所の建造工程
名村造船所によると、伊万里事業所の敷地は約70万平方メートルで、第一船殻内業工場は長さ500メートル、幅200メートルです。同工場には天井クレーン22基があり、鋼板の切断からブロック製作までの設備を一直線に配置しています。
切断した部材は小組立で小さなパーツとなり、その後の大組立でブロックになります。大組立のブロックは最大で約20メートル四方、350トンに達し、複数のブロックを地上でつなぐ総組では最大1,300トン以上の構造物を作ります。
完成したブロックは、最大1,000トンを積載できる搬送台車で屋外へ運ばれます。建造ドックでは、1本のドックを仕切って1隻分と0.5隻分を同時に建造し、両側のゲートから交互に進水させる方式を採用しています。鋼材の前工程からブロック製作、ドックでの建造までが連なるため、名村造船所は鋼材関連業務の統合を生産運営の見直しに位置づけています。
新造船の受注と今後の予定
名村造船所は新造船の受注残も積み上げています。ギリシャの船主DryDel Shippingは、名村造船所で建造中の載貨重量トン数18万2,000トンのケープサイズ船4隻について、川崎汽船との5年間の用船契約を確保しており、4隻は2028年と2029年に引き渡される予定です。
名村造船所は、新しい大型建造ドックの整備と既存設備の能力向上を進めています。










