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シベリア南部のトゥヌグ1号墳から、大麻の種子と、埋葬された人々の髪に残るカンナビノイドが見つかりました。研究チームは髪の化学分析と種子の年代測定を組み合わせ、約2800年前に大麻が精神作用をもたらす目的で使われたことを示す、現時点で最古の直接証拠と位置づけています。

トゥヌグ1号墳で見つかった種子と髪

トゥヌグ1号墳は、現在のロシア南部トゥヴァ共和国にあるスキタイ文化初期の墳墓です。中央には木造の埋葬施設があり、研究対象となったのはその中に葬られた6人です。

埋葬施設の周辺では大麻の種子が見つかり、放射性炭素年代測定から、種子は紀元前8世紀初頭に墓へ納められたと分かりました。墳丘では馬の犠牲に加え、人骨も見つかっており、研究チームは人身供犠が行われた可能性を挙げています。

種子が墓にあるだけでは、大麻が精神作用を目的に使われたとは言えません。大麻は油や繊維にも利用されるため、研究チームは保存された髪も分析しました。

髪から検出されたカンナビノイド

研究チームは、墳墓から見つかった人の髪を高分解能質量分析などで調べました。複数の試料からカンナビノール(CBN)に一致する明瞭な信号が検出され、テトラヒドロカンナビノール(THC)に一致する弱い信号も確認されました。

THCは大麻の主な精神作用成分で、CBNはTHCの酸化によって生じる化合物です。研究チームは、同じ墓から出た種子と髪の化学的痕跡を合わせ、大麻が精神作用をもたらす性質のために使われたことを示すとしています。

以前の証拠との違い

トゥヌグ1号墳より後の例として、2019年の研究では、中国西部パミール高原のジルザンカル墓地にあった約2500年前の木製火鉢を調べました。墓地の8基の墓から出土した火鉢10点の内側などを分析し、燃焼痕のある試料から大麻由来のCBNを検出しています。

火鉢の内側からカンナビノイドが見つかった一方、外側の試料からは検出されませんでした。研究チームは、この結果を葬送儀礼で大麻を燃やした証拠と解釈しました。

儀礼の解釈と今後のDNA分析

研究チームは、この発見を犠牲や葬送を伴う儀礼の文脈に位置づけています。また、人身供犠の対象となった人を落ち着かせるために大麻が使われた可能性も挙げていますが、研究チームはこれを推測としています。

研究チームは種子のDNA解析を進めており、保存状態は良好だとしています。今後、古代の大麻の系統や栽培化、各地への広がりを調べる計画です。