後輪を駆動せず、推力で進むハーレー

動画制作者のMattとSean Kerrは、従来のエンジンや変速機、駆動系を取り外したハーレーに、小型タービンを2基搭載しました。後輪へ動力を伝えず、タービンの推力で車体を前進させる構成です。

タービン1基あたりの推力は約70〜75ポンドで、2基合計では約150ポンドとされています。スロットルを操作すると推力が生じ、車輪を回すためのギア操作はありません。

ガスタービンは空気を圧縮して燃料を燃焼させ、高温のガスをノズルから加速して推力を生みます。ターボジェットはこの方式の基本的な形式です。このハーレーはタービンの推力で車体を進め、後輪へ動力を伝える従来の仕組みを使わずに走行します。

400時間超の製作と時速約97キロ

製作の出発点は、ピストンが露出し、シリンダーヘッドなども欠けた走行不能のハーレーでした。Mattは残ったエンジン部品を取り外し、後輪の横にタービンを取り付ける支持部品やカバー、専用の燃料系統を製作しました。

製作には400時間以上かかったとMattは説明しています。車体のスイッチ類や表示器を残し、タービンを制御する電子機器も組み込みました。

Sean Kerrは走行中に時速60マイル、約97キロに到達し、さらに速度を上げる余地があったと話しました。車重は約350ポンド、約159キロと見積もられていますが、計測値ではありません。

タービン特有の安全対策

回転部品が破損すると破片が飛び出すおそれがあるため、制作者たちは各タービンに破片を受け止めるシールドを設けました。米連邦航空局(FAA)の認証指針も、ローターブレードが破損した際に破片がエンジンケースやシールドを貫通しないことを、二次被害を減らす基準として挙げています。

FAAの指針は、異物の吸い込みやブレード破損が、エンジンの分解や火災などの重大な危険につながり得ると説明しています。また、破損したブレードを含む試験などを通じて、危険な影響を抑えられることを確かめる考え方を示しています。

グラーツ工科大学の「Aeroengine Safety」は、破片をエンジン内部にとどめる方法として、ケース壁の局所的な補強や、貫通しにくくエネルギーを吸収する素材を挙げています。破片を封じ込めても、内部部品への衝突が別の損傷を招く場合があるため、二次的な損傷も抑える設計が必要だとしています。

燃料遮断後も続く回転

制作者たちは手動の燃料遮断スイッチを取り付けました。ただし、スイッチからタービンまで燃料配管が数フィートあるため、操作後にエンジンがどれほどの時間動き続けるかは分からないと、エンジンを製作した側は説明しています。

製作の終盤には機器の故障もありましたが、制作者たちは2基を作動させて公道を走行しました。走行時には変速操作や従来の駆動系の振動がなかったと、Sean Kerrは説明しています。