
スズキは10月6日、同社初の軽乗用EV(電気自動車)「e SKY」を発表しました。価格は消費税込みで212万〜279万円で、全グレードが26kWhの駆動用バッテリーを搭載し、WLTCモードの航続距離は310kmです。スズキは月間販売目標を1,000台に設定しています。

3グレードで電池容量と航続距離を共通化
グレードは受注生産の「A」、中間の「G」、「X」の3種類で、価格はそれぞれ212万円、239万円、279万円です。駆動方式はすべて前輪駆動の2WDで、電池容量、航続距離、交流電力量消費率は共通です。グレード間の違いは装備仕様にあります。
価格には消費税10%が含まれますが、リサイクル料金、保険料、消費税以外の税金、届出などに伴う費用は含まれません。自動車重量税はエコカー減税による免税の対象で、この措置は2028年4月30日までの新車届出に適用されます。
油冷式の駆動ユニットと床下電池を採用
e SKYの駆動ユニット「eAxle」は、モーター、電力を制御するインバーター、減速機のギヤを一体化した油冷式のユニットです。スズキはこのユニットを小型・軽量に設計し、省スペース化と高効率化を図りました。駆動用バッテリーには薄型で平らな形状のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用しています。
出光興産は、eAxleでは従来からモーターの冷却と減速機の潤滑に油が必要だったと説明しています。また、冷却水や部品ごとに異なる油を使う構成では回路が複雑になるとして、冷却と潤滑を一つの流体にまとめる技術を開発しています。
車体の基盤にはEV専用プラットフォーム「HEARTECT-e」を採用し、駆動用バッテリーを床下に配置しています。スズキは、床下への配置によって室内空間を確保するとともに、軽量で剛性の高い車体を実現したとしています。最小回転半径は4.4mです。
交流電力量消費率はWLTCモードで97Wh/kmです。スズキは国土交通省の審査値に基づき、2026年10月現在の同社調べで軽EVクラストップとしています。足回りには専用サスペンションを用い、回生協調ブレーキ、ブレーキ引きずり低減機構、スズキの軽自動車で初採用となる電動ブレーキブースターを組み合わせています。
サクラ・eKクロスEVの180kmに対し310km
既存の軽乗用EVでは、日産サクラの電池容量は20kWh、WLTCモードの航続距離は最大180kmです。三菱eKクロスEVも、東京電力エナジーパートナーが示す車種別の数値では20kWh、180kmです。e SKYの26kWh、310kmは、これらの数値を上回ります。
ただし、310kmは定められた試験条件での値です。WLTCは市街地、郊外、高速道路の走行を平均的な使用時間配分で構成した国際的な試験モードで、スズキは気象や渋滞、急発進、エアコン使用などによって実際の航続距離が大きく異なるとしています。
EVでは暖房などの電装品も電力を消費し、走行速度や加減速の仕方、道路環境によって航続距離が変わります。
残量に応じたナビと安全装備を搭載
e SKYは、スズキ国内初となる10.1インチのディスプレイオーディオと、同社初の「つながるナビ」を採用しています。ナビは最新の地図データやリアルタイムの交通情報に加え、電池残量に応じたルート案内と充電スタンドへの立ち寄り提案に対応します。
全方位モニター付きディスプレイオーディオとスズキコネクト対応通信機は、Xでは標準装備、Gでは税込20万円のメーカーオプションです。「つながるナビ」の利用にはスズキコネクト契約が必要です。
安全装備には「デュアルセンサーブレーキサポートII」などの予防安全技術を採用しています。一定の運転支援機能を備える安全運転サポート車の区分「サポカーS ワイド」に該当し、国土交通省のペダル踏み間違い急発進抑制装置認定車にもなっています。衝突時にはサスペンションフレームを離脱させ、乗員への衝撃を軽減する構造です。
外観にはスズキ初の軽自動車「スズライト」の意匠を取り入れ、前後のLEDランプにデジタル数字風のグラフィックを用いています。車体色は新色「イマージョンブルーパールメタリック」を含む9色11通りです。植物由来の樹脂材料も採用し、用品には100%リサイクル可能な単一素材の「モノマテリアル・フロアマット」を設定しています。










