
ナノティラヌスの骨格標本「ジョディ」が、ニューヨークでの競売で4,730万ドル(約75億円)(3,550万ポンド(約75億円))で落札されました。ティラノサウルス・レックス(T. rex)の幼体と考えられていた標本が、独立した属に分類された後に市場へ出たことで、化石の個人所有と、研究や一般公開の機会をどう確保するかが議論されています。
ジョディの落札額は恐竜化石で2番目
ジョディは高さ約3メートルの骨格標本で、化石骨の要素を約191個含みます。サザビーズがニューヨークで競売を実施し、6者が12分間にわたり競り合いました。落札者の名前は公表されていません。
落札額は、恐竜化石の競売価格として、2025年7月に5,010万ドル(約79億円)で落札されたT. rex「ガス」に次ぐ額です。2024年7月に4,460万ドル(約70億円)で落札されたステゴサウルス「エイペックス」が、3番目の高額記録となっています。
ジョディは、落札前には最低900万ドル(約14億円)での落札が見込まれていました。今回の落札額はその水準を上回りました。
T. rexの幼体とされた標本
ジョディは、モンタナ州のヘルクリーク層で、牧場主のジョディ・ピアソンが自身の土地から発見しました。商業古生物学者のクレイトン・フィップスが発掘し、2023年10月にはロンドンのアートフェアで、幼体のT. rexとして展示されました。
ナノティラヌスは長く、T. rexの若い個体なのか、別の恐竜なのかが議論されてきました。米国の研究者が独立した属と確認したのは、競売の約1年前です。ジョディは、その分類が確認された後に市場へ出た初めての標本とされています。
ナノティラヌスとT. rexは、約6,700万年前の同じ地質時代に生息していました。ポーツマス大学の古生物学者ミーガン・ジェイコブズは、ナノティラヌスをT. rexより小さく、細身で、肉を切り裂く刃のような歯を持つ恐竜と説明しました。
公有地の化石は許可と保管が必要
米国では、連邦政府の管理地で見つかった古生物学的資源を採集するには、許可が必要です。規則は、化石を販売または購入する目的で連邦政府の土地から採集することを認めていません。
許可を得て採集した資源は、連邦政府の所有物として扱われます。採集物と関連記録は、長期保存を担う承認済みの保管施設に預ける仕組みです。
承認済みの施設は、標本を保存・管理し、科学研究に利用する機会を提供します。規則では、教育や保存を目的とした貸し出しも、保管施設が担う管理活動に含まれます。
落札後の公開と研究をめぐる議論
ジョディは、牧場主が所有する土地で発見された後に発掘され、競売にかけられました。これに対し、連邦政府の管理地で許可を得て採集した化石には、政府所有や承認済み施設への保管といった規則が適用されます。
エディンバラ大学の古生物学者スティーブ・ブルサッテ氏は、標本が公の場から姿を消す可能性を「胸が痛む」と表現しました。研究者や一般の人々が、重要な化石を見たり調べたりできなくなる懸念を示しています。
一方、ジェイコブズ氏は、標本の発掘には時間、労力、費用がかかると述べ、売却を望む関係者を責めないと話しました。また、恐竜化石の多くはいずれ博物館に収蔵されるとの見通しも示しています。











