Space Launch System - NASA
出典: nasa.gov

ニューグレンの再飛行は2027年1月に

Blue Originはニューグレンの再飛行を2027年1月に予定しています。5月の発射台爆発を受けて再建が続いており、年内の打ち上げ目標から延期されました。 次の飛行後には、NASAの月面計画に向けた無人着陸機「Blue Moon Mark 1」の打ち上げも春に予定されています。

同社はニューグレンの改良として、1段目のBE-4を将来置き換えるエンジン「Northstar」と、水素・酸素を使う第3段の開発を発表しました。 Northstarは部品数を半分にし、質量を30%減らしながら推力を高める設計です。部品の約65%を3Dプリントでき、製造費はBE-4の25%になるとBlue Originは見込んでいます。

第3段には複合材製の液体水素タンクを使う計画です。Blue Originはテキサス州の施設で液体水素を入れる試験を初めて実施し、設計を進める判断材料としました。 同社は将来的にニューグレンを年1,000回以上打ち上げる構想も示しています。

日本の民間ロケット支援と各国の計画

インターステラテクノロジズは、JAXAの宇宙戦略基金「民間ロケット打上げ実証加速化(STAND)」に採択されました。支援上限は1社あたり120億円で、事業期間は2031年3月までの予定です。 上限額や期間は、今後の評価によって変わる可能性があります。

STANDは、民間ロケットの複数回の打ち上げ実証を支援し、飛行データや運用実績を積み上げる仕組みです。インターステラはZEROの2号機以降で実証を行い、設計や製造工程、地上運用を継続して改善する計画です。 同社はZERO初号機の開発を文部科学省のSBIRフェーズ3事業で進めてきました。

中国では、衛星通信網「SpaceSail(千帆)」向けの衛星18基が打ち上げられ、軌道上の衛星は約275基になりました。 打ち上げに使われたKinetica 2は、3基のブースターを並べた構成で、低軌道へ約12トンを運べます。 中国は2030年までの有人月面着陸を目指し、2027年に長征10Aと新型宇宙船「夢舟」の飛行試験、2028年に月着陸機「攬月」の無人試験を計画しています。

打ち上げ需要と供給の差

Quilty Spaceは、衛星事業者や民間宇宙機関の需要に対し、2030年までに中国以外で約150回分の打ち上げ不足が生じると推計しました。 米軍の需要を加え、SpaceXがファルコン9とファルコンヘビーの運用を延長しない場合、不足はその約2倍になる可能性があります。

同社の分析では、ロシアのロケットが西側市場から外れたこと、Amazon Leoの需要、新型ロケットの開発遅延などが不足要因です。ニューグレンやバルカン、Neutron、Terran R、Novaが遅れていることも挙げられています。

中国では衛星網の構築が続く一方、インドは地域航法システムを補う衛星NVS-03を10月30日に打ち上げました。 同衛星は第2世代航法網の3機目で、原子時計の異なる設計を複数搭載しています。 インドのGSLVは2001年の初飛行から20回打ち上げられ、うち6回が全体または部分的な失敗でした。

Artemis IIの打ち上げと電離圏

NASAの有人月探査ミッション「Artemis II」の4月の打ち上げでは、ロケットとオリオン宇宙船の軌道変更エンジンに伴い、同じ地域の電離圏に3種類の擾乱が生じました。 電離圏は地球上層大気のうち荷電粒子が多い領域で、電波を反射・変化させます。 電離圏の変化はGPSなど衛星測位にも影響し、打ち上げ時の擾乱は人為的な宇宙天気の一種です。

ロケットが大気を通過すると、衝撃音響波が発生し、電離圏の電子密度に変化を起こすことがあります。2000年に発表された研究は、GPS観測網を使って波の方向や速度、発生源を調べる手法を示しました。 研究では1998年と1999年のプロトンおよびスペースシャトル計5回の打ち上げを分析し、電離圏の応答が衝撃波に対応するN字型だったと報告しています。

その研究で観測された波の周期は270〜360秒、位相速度は毎秒900〜1,200メートルでした。 研究チームは、静穏から中程度の地磁気条件下で、該当する周期帯の背景変動に対して振幅が少なくとも2〜5倍だったとしています。 ロケット打ち上げに伴う電離圏の乱れは過去にも観測されており、Apollo計画や1973年のSkylab打ち上げ後の記録があります。

水を推進剤にする衛星

SpaceX出身者が設立したArgo Spaceは、水を推進剤、冷却材、放射線遮蔽材として使う衛星を開発しています。 衛星は太陽光発電で水を水素と酸素に分解し、そのガスを燃焼させて推力を得る仕組みです。 2026年7月の初飛行では太陽電池アレイが展開せず、推進系の試験まで進めませんでした。同社は2027年に2回の飛行を予定しています。

NASAの1997年の技術報告は、水を電気分解して得た水素と酸素を燃焼させる推進方式を扱っています。水は低圧のタンクに貯蔵でき、電解装置で高圧の推進剤にできます。 報告は、衛星の軌道投入や姿勢制御、軌道維持などに使う推進方式として検討しました。

同報告では、水電解推進の推力あたりの電力要求を毎キロワット約0.17ニュートンとし、アークジェットやイオンスラスターの例より低い値を示しています。 水素と酸素を燃焼させる方式は、報告時点で推進剤の取得や取り扱い費用を抑える可能性がある一方、ガスを貯蔵するタンクの重量や点火の必要性も課題として挙げられました。 Argo Spaceの衛星は水を燃料だけでなく冷却材や放射線遮蔽材にも使う構想で、NASA報告の推進方式と同じく、水から水素と酸素を得る設計です。