人口減少が続く日本の自治体では、人口を増やす計画と、縮小を前提に都市機能を保つ計画が併存しています。夕張市、珠洲市、真鶴町を比較した研究は、人口減少への対応に自治体ごとの差があり、縮小への適応策も一貫して定着していないと指摘しました。国の立地適正化計画は都市機能や居住の誘導を進めています。
3自治体に見られた人口減少への異なる対応
比較研究の対象は、北海道夕張市、石川県珠洲市、神奈川県真鶴町です。自治体の人口減少への対応を、状況の評価、政策対応、実行能力の観点から分析しました。
分析では、人口減少に強く抵抗する姿勢から、縮小に積極的に適応する姿勢まで、自治体の対応に幅が見られました。成長を目指す政策と、縮小を受け入れて都市を調整する政策の組み合わせも、自治体によって異なります。
人口減少が長く続いている一方で、縮小を前提とする政策の考え方や適用は一貫していないと研究は論じています。人口増加を都市計画の標準的な目標とする考え方を見直すことが、計画上の課題です。
「スマート・シュリンケージ」が目指す都市の調整
「スマート・シュリンケージ」は、人口減少を前提に、少ない人口やそれに伴う問題に対応する都市計画の考え方です。人口増加を軸にする計画とは異なり、人口や市街地が縮小する状況に合わせて都市を運営することを重視します。
関連研究のレビューでは、具体策として土地利用の調整、土地の確保・管理、移転支援、都市再生が挙げられています。こうした施策は、成長を前提に施設や市街地を広げるのではなく、縮小する都市の空間や機能を調整する方向にあります。
ただし、スマート・シュリンケージの研究は、成長を扱う研究に比べて、分野の広がりやテーマの多様さ、実証研究の厚みが不足しているとレビューは評価しています。そのため、縮小への適応策を都市の持続可能性に結びつける理論の整備も、研究上の課題とされています。
立地適正化計画は拠点と交通を結ぶ
日本の立地適正化計画は、居住や医療・福祉・商業などの都市機能を誘導する区域を設け、地域公共交通と連携させる制度です。国土交通省は、中心拠点だけでなく身近な生活拠点も公共交通でつなぐ「コンパクト・プラス・ネットワーク」を掲げています。
計画は強制移転ではなく、政策上の誘因を通じて、時間をかけて住民や民間事業者と居住・都市機能を誘導する仕組みです。区域外での一定規模以上の住宅開発や誘導施設の立地には届出と自治体の働きかけを設け、区域内の施設の休廃止も届出の対象とします。
2025年3月時点で、立地適正化計画を公表した都市は636都市となり、国の目標だった600都市に達しました。2024年4月時点の集計では、居住誘導区域内の人口割合が増加した自治体は319都市、減少した自治体は123都市でした。
計画を地域の変化に合わせて運用する課題
日本政策総研の長谷川一樹上席主任研究員は、計画の実効性を高める課題として、計画・実行・評価・改善を繰り返す運用を挙げています。人口構成や空き家・空き地、商業施設の撤退、バス路線の廃止などを定期的に調べ、状況に応じて誘導区域を見直す必要があると提言しています。
同研究員は、区域外での土地利用規制が緩やかなことも、計画の実効性を妨げる要因の一つと指摘しています。また、公共施設やインフラの整備計画との整合、自治体内で分野をまたいで推進する体制、職員や住民への理解促進も課題に挙げています。
計画を公表した都市のうち、2023年4月時点で居住誘導区域内の人口割合が増加したのは63.9%、減少したのは36.1%でした。都市機能誘導区域内で誘導施設の割合が維持または増加した都市も、同時点では63.6%でした。






