200kgの合金を製造し、一貫工程を検証
大同特殊鋼と京都フュージョニアリング(KF)は、核融合炉のブランケット構造材に使う高純度の低放射化バナジウム合金について、製造技術の確立に向けた共同開発を始めました。両社は合金を累計200kg溶解し、鍛造した丸棒と板状の加工材を製造しています。
現在は、材料の溶解から板材や丸棒などの加工材製造までをつなぐ一貫プロセスを検証しています。共同開発では、フュージョン用途に必要な品質の合金を実用規模で製造できる工程の確立を目指します。
2026年8月時点で、工程を通した初期加工材として丸棒7.3kg、板状加工材2.6kgが完成しました。KFへの約70kgの納品を予定しており、材料を加工・接合したうえで、翌年をめどにブランケットのモックアップ製作を始める計画です。
ブランケットに求められる役割と材料特性
ブランケットは核融合反応で生じる中性子を受け止め、熱回収や燃料となるトリチウムの生成を担う炉内機器です。ブランケットの開発は、核融合エネルギーの実現に向けた技術課題の一つです。
低放射化バナジウム合金は、約700℃の高温環境での強度や、液体リチウム、FLiBe(フッ化リチウムとフッ化ベリリウムの溶融塩)との適合性が期待される材料です。これらは冷却材やトリチウム増殖材として想定され、ブランケット構造材の候補に挙げられています。
核融合炉のブランケットは高温にさらされるため、高温で強度を保つ材料が求められます。核融合科学研究所の研究成果では、バナジウムを主成分とし、クロムとチタンを加えた合金が候補として扱われました。試験では、想定条件の高温下で強度を保てることも確認されています。
高純度化が加工と接合を支える
バナジウム合金では、加工中や溶接後に割れが生じる課題がありました。核融合科学研究所の研究では、炭素、窒素、酸素などの不純物が割れの原因となり得るとして、原料の選定や製造条件を見直しています。
同研究では、真空または不活性ガスの環境で合金を製造し、原料や空気から不純物が混入するのを抑えました。高純度化した合金では延性が改善し、加工時や溶接後の割れを克服できたと報告されています。
金属は高純度にすると強度が低下する場合がありますが、研究所の試験では、核融合炉ブランケットで想定される条件下で十分な強度を維持できることが確認されました。今回の共同開発は、こうした材料の性質を踏まえ、実用規模の製造工程を検証する段階にあります。
モックアップ製作に向けた次の工程
KFは納入される材料を加工・接合し、ブランケットのモックアップを製作する計画です。モックアップは、実機の構造を模した試作物を指します。製作を通じて、共同開発で得た構造材をブランケット開発に活用します。
KFはブランケット構造材として、バナジウム合金のほかにSiCf/SiC複合材料の開発も進めています。今回の合金開発は、ブランケット向け材料の選択肢を増やす取り組みです。
KFの代表取締役社長COO、世古圭氏は、両社の材料製造技術とフュージョン材料の知見を組み合わせ、ブランケット開発を進めると述べています。









