GreenDEC®について紹介します
出典: khi.co.jp

川崎車両が開発した電気式気動車「GreenDEC(グリーンデック)」が、2026年度グッドデザイン賞を受賞しました。地域鉄道で共通利用できる仕様や、将来の動力源の変更を見据えた設計が評価されました。天竜浜名湖鉄道と甘木鉄道では、すでに同車をベースにした車両が営業運転を始めています。

地域鉄道で共通利用できる標準型車両

GreenDECは、地域の鉄道公共交通の維持・発展と、非電化鉄道のカーボンニュートラル化の両立を目的に川崎車両が開発した標準型の電気式気動車です。車両の老朽化や部品調達の難しさ、少子高齢化への対応、脱炭素化など、地域鉄道が直面する課題を踏まえています。

事業者が共通して使える仕様とデザインを採用し、一般的な電車との部品共通化や保守作業の効率化を考慮しています。地域ごとに異なる課題を抱える鉄道事業者が、共通の車両設計を利用できるようにする考え方です。

設計には、水素駆動など、将来のカーボンニュートラルに資する動力源への置き換えに対応できるプラットフォームも取り入れられています。受賞審査では、こうした汎用性と、地域の課題に向き合うものづくりが評価されました。

エンジンの力を電気で車輪へ伝える

電気式気動車は、車両に搭載した内燃機関で発電機を動かし、発生した電力で台車の主電動機を駆動して走ります。エンジンの力を機械的に車輪へ伝えるのではなく、発電した電気を介してモーターを回す仕組みです。

機械式の気動車は、クラッチと変速機を組み合わせて動力を伝えます。これに対して電気式では、走行を担う駆動系に電車と同様の電動機を使い、エンジンの回転数調整によって速度を制御できます。

液体式は、トルクコンバーターなどを使ってエンジンの動力を伝える方式です。日本では1950年代に電気式と液体式の気動車が比較され、液体式の車両が量産形式として導入されました。

国内で重ねられてきた電気式気動車の試み

日本では戦前から電気式気動車が試作され、1930年には鉄道省がキハニ36450形を製作しました。エンジンで発電機を動かし、その電力で台車のモーターを駆動する構成でしたが、車両重量などの課題がありました。

戦後にはキハ44000形などが製作されましたが、低出力のエンジンと発電機の組み合わせによる性能面の課題もあり、電気式は主流になりませんでした。1953年以降、液体式の気動車が量産され、電気式の車両は改造や廃車によって姿を消していきました。

2000年代には蓄電池を組み合わせるハイブリッド車両が登場し、電気式の制御・駆動方式を備える気動車が再び導入されました。JR東日本のキハE200形は、発電用ディーゼルエンジンと蓄電池の電力でモーターを動かす車両で、2007年に小海線で営業運転を始めています。

2社で営業運転、川崎車両は展開を継続

GreenDECをベースにした車両は、静岡県の天竜浜名湖鉄道でTHG100形、福岡県の甘木鉄道でARe500形として導入されました。両形式は2026年春から営業運転を開始しています。

川崎車両は、今回の受賞を励みに、GreenDECを通じた社会課題の解決に取り組む方針を示しました。

グッドデザイン賞は、1957年に設立された日本の総合的なデザイン評価・推奨の取り組みです。ものの美しさだけでなく、産業の発展や暮らしの質を高めるデザインを幅広い分野から選び、伝えることを目的としています。