手塚治虫を題材にした長編ドキュメンタリー映画『Tezuka: God of Manga』が、Kickstarterで資金募集を始めました。映画は手塚の生誕100年に当たる2028年の完成を予定しており、漫画家やアニメ関係者、研究者へのインタビューを通じて、その仕事を掘り下げます。
目標額と募集期間、完成後の予定
目標額は4万9,999米ドルで、募集は11月13日に終了する予定です。Anime News Networkが報じた時点で、集まった金額は1万726米ドルでした。
映画は2028年の完成を予定しています。支援者向けの特典と、映画のBlu-ray Disc・DVDは、2028年7月に配布する予定です。
特典には『鉄腕アトム』のTシャツ、映画のBlu-ray DiscまたはDVD、漫画家の清水裕子による『ブラック・ジャック』のジクレー版画などがあります。リトグラフのセットや手塚作品のカラー漫画カバー、プロデューサーとしてのクレジットも用意されています。
漫画家やアニメ制作者がインタビューに参加
監督はジェイソン・アンドリュー・コーンです。ブレッド・アンド・バター・フィルムズのカミーユ・セルヴァン=シュライバー、後藤仁子、グレン・S・フクシマ、ローランド・ケルツが制作に加わります。
インタビュー対象には、『AKIRA』の大友克洋、『ベルサイユのばら』の池田理代子、『MONSTER』『PLUTO』の浦沢直樹、『デビルマン』の永井豪が含まれます。『機動戦士ガンダム』の富野由悠季や、マッドハウス共同創業者の丸山正雄、アニメ監督のりんたろうも参加予定です。
作家のエイダ・パーマーやサミュエル・サッティン、映画監督のホルヘ・R・グティエレスのほか、漫画研究者のフレッド・ショットとヘレン・マッカーシーもインタビューに登場します。キャンペーンが成立した場合、ポール・ポープとロナルド・ウィンバリーにもインタビューする予定です。
漫画家からアニメ制作へ進んだ手塚
手塚は1928年に生まれ、1989年に亡くなりました。漫画『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』を少年誌で連載し、1958年には東映動画から『西遊記』のアニメ化に誘われ、アニメ制作に関わり始めました。
手塚は1961年に動画制作会社の虫プロダクションを設立しました。テレビアニメの制作では、限られたスタッフで毎週30分の番組を作るため、絵の枚数を減らし、静止画と台詞を活用する方法を考えました。
『鉄腕アトム』のテレビ放送は1963年1月1日に始まりました。手塚の回想では、日本で連続もののテレビアニメを制作した最初の例で、週1回・30分という放送形式も同作が確立しました。
省力化した制作と週1回の放送
『鉄腕アトム』では、同じ絵を使い回したり、口など一部だけを動かしたりするリミテッドアニメーションを採用しました。フルアニメーションのように毎秒24コマを使う作品を少人数で毎週制作するのは困難だったためです。
放送は週1回、1話30分でした。当時は10分程度の短編テレビアニメが多く、決まった曜日と時間に放送する形式も珍しいものでした。
この放送形式は、漫画を原作とする物語や心理描写をテレビで展開する枠組みになりました。放送後は漫画の再編集版が刊行され、虫プロダクションは玩具などのライセンス展開にも取り組みました。
ディズニーを手本にしながら別の方法を探る
手塚は幼い頃からウォルト・ディズニーに影響を受け、アニメーション制作を志しました。一方、虫プロダクションでは、大規模な人員や資金を要するフルアニメーションとは異なり、限られた資源で作る方法を試みました。
手塚は『鉄腕アトム』の制作で省力化を進める一方、『ある街角の物語』などの実験作品では、動きを抑えた表現にも取り組みました。効率を優先したテレビアニメと、アニメーションの表現を探る実験制作を並行させていました。











