
60年以上公開されていない作品が競売に
フィンセント・ファン・ゴッホの油彩画《花咲く栗の木々》(原題:Châtaigniers en fleurs)が、11月18日にニューヨークで競売にかけられます。予想額は約1億8000万ドルで、実現すればゴッホ作品のオークション記録を更新する可能性があります。
作品は60年以上にわたって一般公開されておらず、2026年10月には香港で公開されました。会場には数百人が列を作り、作品を鑑賞しました。 1964年にニューヨークのグッゲンハイム美術館で展示されたのが、これまでの最後の一般公開とされています。
競売を開くサザビーズは、作品をアルゼンチンの収集家カルロス・ペドロ・ブラキエールとネリー・アリエタ・デ・ブラキエールのコレクションから出品します。コレクションは印象派・ポスト印象派の絵画12点で構成され、全体の予想売上は約4億5000万ドルです。
オーヴェル時代の風景画としての位置
《花咲く栗の木々》は1890年5月、ゴッホが晩年の約2カ月を過ごしたフランスのオーヴェル=シュル=オワーズで描かれました。サザビーズの作品情報では、制作日は同月24日、素材はキャンバスに油彩、寸法は70×58センチとされています。
画面では、花をつけた栗の木の大きな樹冠が上部を占め、その下に一人の男性と傘を持つ3人の女性が描かれています。厚く置かれた絵の具と、青やオレンジ、黄色などの強い色の対比が特徴です。
オーヴェル時代に描かれた風景画のうち、現在も個人所蔵とされる作品は8点です。《花咲く栗の木々》は、その時期の風景画50点のうち個人所蔵に残る作品の一つであり、栗の木を主題にした4作品の一つでもあります。 同時期の作品群の中で、公開される機会の限られた風景画です。
ブラキエール・コレクションの出品
ゴッホの死後、この絵は弟テオに渡り、テオの妻ヨハンナと息子の手を経て、画家の家族を離れました。その後、出版人サミュエル・フィッシャーや音楽・映画業界で活動したジョージ・ガード・デ・シルヴァ、収集家ハリエット・ハリス=ジョナスらが所有し、1975年からブラキエール夫妻のコレクションに入りました。
今回の競売には、ゴッホのほか、ポール・セザンヌ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、カミーユ・ピサロらの作品が含まれます。セザンヌの《アルルカン》の予想額は約1億2000万ドルで、サザビーズは同作とゴッホ作品の双方について、それぞれの作家のオークション記録を更新する可能性を示しています。
サザビーズは、コレクションの競売を11月18日にニューヨークで開く予定です。作品は競売前に香港などで公開され、長く個人所蔵にあった絵画を一般の来場者が鑑賞する機会となりました。
予想額と過去の落札記録
ゴッホ作品の現在のオークション記録は、《糸杉のある果樹園》が2022年にクリスティーズ・ニューヨークで落札された際の約1億1718万ドルです。 この金額には買い手が支払う手数料が含まれ、競売人が落札を決めた時点の価格は1億200万ドルでした。
《花咲く栗の木々》の約1億8000万ドルという予想額は、2022年の記録的な落札額を上回る水準です。 ただし、予想額は実際に成立した価格ではなく、記録更新は11月の競売結果によって決まります。
2022年の記録は、マイクロソフト共同創業者ポール・アレンのコレクションを扱ったニューヨークの競売で生まれました。《糸杉のある果樹園》は1888年制作で、落札額は手数料込みで約1億1718万ドルでした。 今回の競売では、約1億8000万ドルと見積もられたゴッホ作品と、約1億2000万ドルと見積もられたセザンヌ作品が同じコレクションから出品されます。










