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遺伝的特徴によって異なる関連

低用量アスピリンを割り当てられた高齢者のうち、血小板数に関係する遺伝的スコアが最も高いグループでは、プラセボ群に比べて認知症の発症リスクが低くなりました。一方、同じグループでは重大な出血のリスクも高く、予防効果だけでは評価できない結果です。

解析対象は、ASPREE試験参加者のうち遺伝情報を利用できた13,541人です。研究チームは、遺伝的な傾向を数値化したポリジェニック・スコアを5,182種類調べ、品質管理後の1,848種類について、アスピリンとの関連を分析しました。

血小板は、血液を固める働きに関わる成分です。今回注目されたのは血小板数に関連する遺伝的スコアで、認知症に関係する既知の遺伝的リスク要因とは異なる関連が見つかりました。

認知症リスク低下と出血リスク

血小板数の遺伝的スコアが上位20%のグループでは、認知症を発症した人の割合はアスピリン群で1%、プラセボ群で3.3%でした。研究論文では、このグループのアスピリン割り当てと認知症発症のハザード比を0.28と報告しています。

同じグループで重大な出血が起きた割合は、アスピリン群で4.4%、プラセボ群で2.1%でした。論文で報告された重大な出血のハザード比は2.13です。

この遺伝的スコアの上位グループ以外では、認知症リスクの低下は確認されませんでした。研究チームは、今回の結果を仮説を生み出す段階の知見と位置づけ、別の集団での検証が必要だとしています。

ASPREE試験で分かっていたこと

今回の解析は、高齢者を対象に低用量アスピリンを調べたASPREE試験のデータを使っています。元の試験では19,114人をアスピリン100ミリグラムの毎日服用群とプラセボ群に分け、追跡期間の中央値は4.7年でした。

元の試験では、死亡、認知症、身体障害を合わせた主要評価項目の発生率は、アスピリン群で1,000人年あたり21.5件、プラセボ群で21.2件でした。重大な出血はアスピリン群で1,000人年あたり8.6件、プラセボ群で6.2件でした。

全参加者をまとめて分析した試験では、アスピリンによる認知症予防の効果は示されませんでした。今回の遺伝的特徴別の解析は、その全体平均では見えなかった可能性を調べたものです。

高齢者の予防目的での使用

米国予防医療専門委員会(USPSTF)は、心血管疾患の既往や症状がない成人について、60歳以上で心血管疾患の一次予防を目的にアスピリンを新たに始めないよう勧告しています。この勧告は、出血リスクが高くない人を対象にしたものです。

USPSTFは、アスピリンが消化管出血や頭蓋内出血などのリスクを高め、出血リスクは年齢とともに上昇すると説明しています。服用を始めた人についても、利益が年齢とともに小さくなり、75歳ごろに中止を検討するというデータがあるとしています。

この勧告の対象は心血管疾患の予防であり、今回の遺伝的解析が扱う認知症予防とは目的が異なります。認知症予防を目的にアスピリンを服用することについて、研究チームは、遺伝的特徴を持つ人を対象とした臨床試験で結果を確かめる必要があると述べています。服用を自己判断で始めないよう呼びかけています。