
CD-35 2722で見つかった巨大な衛星候補
天文学者たちは、恒星CD-35 2722の周囲にある褐色矮星を回る、木星以上の質量を持つ天体の証拠を得ました。確認されれば、太陽系外で初めて検出された衛星となる可能性があります。
この天体は惑星の周りではなく、褐色矮星を公転しています。褐色矮星は惑星より重く、恒星のように水素の核融合を持続できない天体です。
CD-35 2722は太陽の約半分の質量を持つ恒星で、その周囲を木星の30倍を超える質量の褐色矮星が回っています。さらに、その褐色矮星の周りを木星以上の質量を持つ候補天体が回る三段構造です。
褐色矮星と惑星の境界
褐色矮星は、中心部で水素からヘリウムへの核融合を持続できない天体です。質量が太陽の約8%以下、木星の約80倍以下であることが、一つの目安とされています。
ただし、惑星との境界には質量を使った別の分類もあります。重水素の核融合が起きるとされる木星質量の約13倍以上を、褐色矮星に分類する場合もあります。
候補天体は木星以上の質量を持ち、恒星ではなく褐色矮星を回っています。この配置では、大きさや質量だけでは惑星と衛星を区別しにくく、分類が難しくなります。
褐色矮星の揺れから軌道を推定
観測には、欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTに搭載された分光器CRIRES+が使われました。研究チームは視線速度法で、褐色矮星の動きに生じる小さな変化を調べました。
視線速度法は、天体の光の波長変化から、観測者に近づく動きや遠ざかる動きを捉えます。天体同士が共通の重心を回ると、伴星の重力で中心側の天体も揺れるため、その変化から伴星の質量を推定できます。
トランジット法は、天体が恒星の前を横切る際の光量の低下を捉え、大きさを調べる手法です。視線速度法では質量に関わる情報を得られる一方、トランジット法では半径に関わる情報を得られます。CD-35 2722では、褐色矮星の揺れが手掛かりになりました。
候補を確定するための観測
ESOは今回の観測結果を「もっともらしい初検出」と位置付けており、衛星の確定検出ではありません。太陽系外衛星の確定例はなく、今回の候補は褐色矮星への重力作用を手掛かりにしています。
追加観測で候補の動きを継続して追うことは、背景にある無関係な天体との区別に役立ちます。2005年にESOが報告した褐色矮星2M1207Aの伴星では、約1年にわたる複数時点の画像で相対位置を調べ、両天体が一緒に動くことを確かめました。
同じ観測では、2004年の発見時点で残っていた背景天体の可能性を、後年の画像で共通運動を確認して退けました。
ESOは、口径39メートルの鏡を備える建設中の超大型望遠鏡ELTが、より小さな太陽系外衛星の探索に役立つとしています。











