person holding brown cat on white textile
Photo by Paul Hanaoka on Unsplash

猫が腹や足、尾を触られると身を引くのは、けがを避けたり逃げたりするうえで大切な部位だからです。腹を見せても、必ずしも撫でてほしい合図とは限りません。反応には個体差がありますが、体の動きから不快のサインを読み取れます。

腹を守るのは、急所への攻撃を避けるため

猫は捕食者であると同時に、犬やコヨーテ、猛禽類などに狙われる側でもあります。肝臓や胃、腸などの重要な臓器がある腹部は、肋骨に覆われた心臓や肺と異なり、骨で守られていません。

腹には「プライモーディアル・ポーチ」と呼ばれる皮膚と脂肪のたるみがあり、争いの際に臓器を守るクッションになります。それでも、腹を触られると脅威を感じる猫は多く、接触への警戒は残ります。

仰向けは、立って走ったり跳んだりする姿勢とは異なります。猫がお腹を見せても、それだけで撫でてほしいとは限りません。信頼やリラックスを示す場合でも、腹に触れると別の反応を招くことがあります。

足と尾は、逃げることや防御に関わる

危険から走って逃げる猫にとって、足は移動に欠かせません。逃げられない状況では、前足で相手を払いのけたり、引っかいたりすることもあります。そのため、足をつかまれたり動きを制限されたりするのを嫌がる猫がいます。

足先には刺激に敏感な肉球があり、手首のあたりには「手根洞毛」と呼ばれるひげがあります。猫の行動学者ミケル・デルガドは、肉球や手根洞毛が圧力や熱などを感じ取ることを、足を触られる敏感さの理由の一つに挙げています。

尾も、ほかの動物に追われたときに相手が触れやすい部位です。尾の付け根を噛まれる危険があるため、尾を撫でられるのを警戒する猫もいます。

触られたときの反応には個体差がある

猫が撫でられている間の反応を調べた研究では、34匹を対象に、口の周りや頭、首、背中、尾の周りなど8カ所を比較しました。飼い主と見知らぬ人がそれぞれ15秒間、2回ずつ撫で、友好的な反応と敵対的な反応を記録しました。

この調査では、見知らぬ人より飼い主が撫でたときに、尾を振る、手を避けるといった否定的な反応が多く見られました。特に尾の周りを撫でられたときの反応が強く、相手が飼い主かどうか、触れる部位がどこかによって反応が異なりました。

別の調査では20匹を対象に、頭から尾へ撫でる順序と、尾から頭へ進む順序を比べました。各部位を8秒ずつ撫でた結果、順序による反応の変化は見られませんでした。猫ごとに好みは異なり、同じ猫でも触られる場所によって反応が変わります。

不快のサインが出たら手を止める

撫でている手を見返す、体をくねらせて離れようとするなどの動きは、猫が接触を避けたいときに見せる初期のサインです。こうした動きが続くと、噛む、威嚇する、引っかくといった反応に進むことがあります。

猫は耳の付け根や頬、あごの下を撫でられるのを好むことがあります。これらの場所にはにおいを出す腺があり、猫同士で親しい相手に体をこすりつける場所でもあります。

腹や足、尾を撫でられるのを好む猫もいます。猫がその部位への接触を自ら受け入れているかを見て、離れようとするなどの反応があれば撫でるのを止めます。